「落合（知也）さんがいない中で大きく変わったのは、コミュニケーションの取り方です。中心になって喋る方がいないため、今日は自分が意識してみんなに声をかけました。最初は上手くいかないところもありましたが、徐々に良くなってきました」

　これは、9月1日に開催された「3×3 Summer tournament 2024 supported by Arch」を制したALPHASの小澤崚（178㎝）が明かした大会の振り返りである。武蔵野の森総合スポーツプラザを舞台に、1日で4試合を勝ち抜けば世界大会の切符を獲得できる一戦で、彼らはチーム初となるラインナップを組んだ。

　大黒柱の落合知也はコーチ役に回り、小澤、ヤン・デムサー（195㎝）、ゴラン・ビエリッチ（193㎝）の3人に、出場機会の少ないジュウ イーサン 龍英（195㎝）がロスター入り。年齢も小澤が25歳、ビエリッチが22歳、ジュウが21歳と、若い力をそろえた。

「ジュウが良い仕事をしてくれました」（小澤）
　今大会には男子12チームが出場。ALPHASは予選Poolで信州松本ダイナブラックスを21-16で破り、SENDAI AIRJOKERも21-14で退けると、準決勝ではTOKYO DIMEと顔を合わせた。

　先行こそしたが、アドネシー・ジョシュア・ブラマーを中心に攻め込むTOKYO DIMEを止められず、6-12と劣勢に立たされて最初のTVタイムアウトへ。それでも中盤戦に入るとALPHASは2Pシュートを軸に点差を詰めると、残り3分を切って18-18となる小澤の同点弾が炸裂する。

　さらに、セットプレーからデムサーが勝ち越し点を奪い、バスケットカウントも獲得。フリースローを沈めて20-18とKOにリーチをかけ、最後は再び小澤がアークの外からシュートを抜いて22-18で逆転勝利を飾った。

　そして勢いそのままに決勝では、SHINAGAWA CCを21-11で一蹴。準決勝まで良い活躍ができていなかったジュウも体の強さをいかしたディフェンスのみならず、オフェンスでも好プレーを見せてチームの力になった。彼は3×3 U21男子日本代表に選ばれる有望株であり、日頃からの練習姿勢を含めて信頼も厚いようだ。小澤も、ジュウのパフォーマンスを称えた。

「僕らは練習から彼が良いプレーをするのを知っているので、試合の場数を踏むだけだと思っていました。だから、今日は“一つずつ積み重ねていくしかないから、本当に思い切ってやってくれ”と伝えたんです。決勝ではその言葉通り、ようやくジュウが良い仕事をしてくれましたね！」

　一方で、小澤自身も優勝に大きく貢献した一人だ。コミュニケーションの中心としてリーダーシップを発揮しただけでなく、シュート力を武器にALPHASをけん引した。「チームを引っ張らなきゃいけないという責任感もありました。緊張感と良い集中がかみ合って、良いプレーができたと思います」と小澤は言う。

　彼は、アンダーカテゴリーから着実に3ｘ3で結果を残し、ことし5月には3×3男子日本代表としてパリオリンピックの出場権をかけた最終予選へ出場。その出場権は獲得できなかったものの、重責を背負った経験は今シーズンを戦う25歳の支えになっていた。
　小澤は「変に気負わないようにプレーすることを最近、意識しています。自分はやれると信じて、自分は自分だと言い聞かせてやっています」と心境を明かした。

落合不在で初の世界で8強入り
　そんな若手も育っているALPHASは今大会の優勝によって、10月1日、2日に中国で開かれた「FIBA 3×3 Yichang Challenger 2024」に出場した。落合知也が5人制の所属先であるB3しながわシティスポーツクラブの2024-25シーズン開幕戦へ出るため、チームにとっては落合抜きで戦う初めての世界大会に。小澤、デムンサー、ビエリッチの3人に、デビン・ギリガン（196㎝）を加えて挑み、16チーム中7位と奮闘した。

　予選Poolではパリの銀メダリストを擁するフランスのParisに13-20で破れたが、中国のQinhuangdaoを21-7で下して決勝トーナメントへ。リトアニアのMarijampoleに19-21で惜敗したが、序盤に先行を許した展開から巻き返した。

　最新のチームランキングは世界27位（10月7日時点）。小澤は個人ランキングで278,892ポイントまで積み上げ、首位の齊藤洋介（286,160ポイント/UTSUNOMIYA BREX.EXE所属）に迫ってきた。世界大会のシーズンも佳境を迎える中、ALPHASがさらに高みへ到達できるのか注目したい。

【大会結果】FIBA 3×3 Yichang Challenger 2024はこちらをチェック！（リンク外部サイト）

若きALPHASの奮闘…「3x3 Summer tournament 2024 supported by Arch」を制して、世界大会でも8強入り

TEXT by Hiroyuki Ohashi

PHOTO by Kasim Ericson