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  • 2024.07.27

女子バスケ代表がパリ五輪へ…「走り勝つシューター軍団」が29日28時より初戦に挑む

 女子バスケットボール日本代表の恩塚亨ヘッドコーチが説いた代表メンバーの選考基準は「走り勝つシューター軍団」を高水準で表現できることだった。その基準を「足を使って戦える」「3ポイントシュートを打てる」「5人で連続性を持って、その強みを発揮し続けられる」の三要素に分解し、女子オーストラリア代表との国際強化試合(6/20-21)を経て、パリ五輪に臨む12名のロスターを編成。その水準の高さは、国内最後の強化試合で改めて相手も感じ取ったようだ。

「信じられないようなチーム」(ナタリー暫定HC)
 7月6日、有明アリーナ (東京都江東区)で「三井不動産カップ2024 (東京大会)」のGAME2が開催され、女子日本代表は女子ニュージーランド代表に92 ‒ 50で快勝。GAME1の大勝劇に続き、2連勝を飾った。試合後、ミックスゾーンで女子ニュージーランド代表の暫定ヘッドコーチを務めるナタリー・ハース氏へ“印象に残った日本代表の選手”を問うと、「それは何とも言えないわ」と切り出し、こう続けた。

「みんな、その時その時で違った瞬間があったと思います。だから、一人の選手に絞るのは難しいですね。ローテーションに次ぐローテーションは、我々にとってタフだったと思う。だから、信じられないようなチームであり、素晴らしいチームワークです。彼女たちは自分たちのバスケットボールをプレーするのが好きなんだと思います」

 ただ、女子ニュージーランド代表は国際レベルでプレー経験のない若手選手が6名いた中、68点差で完敗したGAME1からGAME2は奮起し、前半から食らいつく場面も作った。大会MIPに選ばれた#21 ローレン・ウィッテイカー(ゴンザカ大学)を中心に、格上へ胸を借りた試合はトールファーンズにとって意義あるものになった。指揮官は振り返る。

「最初の試合は、多くの選手にとって未知の世界で、どれだけフィジカルな試合になるのか分かりませんでした。でも、1試合目を戦った後、2試合目に向けて素晴らしいアジャストメントができたと思います。日本はディフェンスにおいてとてもフィジカルです。そのようなスタイルで、メダルを獲得するチャンスのあるオリンピックへ向かうチームと対戦できたことは、私たちにとって素晴らしいことだと思います」

 そんな対戦相手もリスペクトする女子日本代表の恩塚HCは試合後、GAME2を前向きに総括。3ポイントシュートの成功率こそGAME1を下回ったが、チームディフェンスを評価した。
「ボールマンプレッシャーと、チームで連携・連動して、タフに守るというところは、前回のゲームよりも改善できて良かったと評価しています。1試合目は、私たちにとってアップサイドのゲームで、良い流れの中で気を引き締めて最後まで戦い抜くことができました。2試合目はダウンサイドで、どちらかというとシュートが来ない。あまり良い時間帯ではないときに、どういうプレーができるかというところで、ディフェンスからトランジションであったり、ここにいる2人の選手(=林咲希、髙田真希)がチームを素晴らしくリードしてくれたと思っています」

「盛り上げるきっかけに私がなれたら」(宮崎早織)
 一方で、今回の三井不動産カップ2024には北海道大会、東京大会の4試合でのべ33,638人の観衆が詰めかけた。有明アリーナでは言えば、GAME1には女子代表史上最多の11,624人が訪れ、GAME2も10,745人でスタンドは真っ赤に染まった。TOKYO 2020の銀メダル獲得を弾みに、女子バスケの広がりを感じさせるとともに、代表合宿の無かった5月26日に代々木公園で開催された「ALLDAY 2024 SPRING」キッズクリニックで講師を務めていた宮崎早織(PG / 167cm / ENEOSサンフラワーズ)と、赤穂ひまわり(PF / 184cm / デンソー アイリス)が日の丸を背負って躍動している姿も今大会、印象深った。

 当時はまだ代表“候補”だったが2人でよく喋りながら、子どもたちとバスケットボールに触れ、クリニック終了後にはサインを求める子どもたちへ丁寧に対応。TOKYO 2020に向けてはコロナ禍の制限があったが、Paris 2024に向けては声援がリアルに届き、選手たちをより一層後押ししている。赤穂は「コロナ禍のときは、対面の応援はありませんでしたが、いろいろなメッセージが届いていました。ですが、直接の応援はやっぱり力になります。いろんなところで掛けてもらえる声がすごく嬉しい」と明かす。

 また、宮崎は3年前から自らも成長を遂げ、女子バスケの広がりが生まれた中で、2度目のオリンピックに行く心境を教えてくれた。

「3年たってこんなにも女子バスケが盛り上がってて不思議だなと思います。でも、こんなに盛り上がっているのは、ルイさん(町田瑠唯)だったり、(馬瓜)エブリンだったり、リツさん(髙田真希)だったりのお力もあると思います。でもこれから女子バスケがもっともっと盛り上がってくれたら良いなと思いますし、その盛り上げるきっかけに私がなれたらいいなと思っています。パリオリンピックはすごい楽しみたいです」

 その高田真希は、三井不動産カップ東京大会のMVPに選出。フラッシュインタビューでは3大会連続のオリンピックへ「今回このような素晴らしい雰囲気を皆さんが作っていただき、私たちにすごく素晴らしい景色を見せてくれました。次は私たちが最高の景色を皆さんにお見せしたいと思いますので引き続き応援よろしくお願いします!」と、高らかに語った。

 目標の金メダル獲得へ。ヨーロッパ遠征を経て、7月29日(月)28時のアメリカ戦より、女子バスケットボール日本代表の挑戦が幕を開ける。
【選手一覧】 パリ20204オリンピック 5人制バスケットボール女子日本代表チーム
 #3 馬瓜 ステファニー (PF / 182cm / CASADEMONT ZARAGOZA)
 #8 髙田 真希 (C / 185cm / デンソー アイリス)
 #12 吉田 亜沙美 (PG / 165cm / 公益財団法人日本バスケットボール協会)
 #13 町田 瑠唯 (PG / 162cm / 富士通レッドウェーブ)
 #15 本橋 菜子 (SG / 164cm / 東京羽田ヴィッキーズ)
 #23 山本 麻衣 (SG / 163cm / トヨタ自動車 アンテロープス)
 #27 林 咲希 (SF / 173cm / 富士通レッドウェーブ)
 #30 馬瓜 エブリン (PF / 180cm / デンソー アイリス)
 #32 宮崎 早織 (PG / 167cm / ENEOSサンフラワーズ)
 #52 宮澤 夕貴 (PF / 183cm / 富士通レッドウェーブ)
 #75 東藤 なな子 (SF / 175cm / トヨタ紡織サンシャインラビッツ)
 #88 赤穂 ひまわり (PF / 184cm / デンソー アイリス)

【日程・結果】括弧内は、TV放送予定局
●予選ラウンド—————————–
・7/29(月) 28:00 アメリカvs.日本(NHK総合)
・8/1 (木) 18:00 日本vs.ドイツ(テレビ朝日系列)
・8/4 (日) 18:00 日本vs.ベルギー(日本テレビ系列)
●決勝トーナメント————————–
・8/7 (水)準々決勝
・8/9 (金)準決勝
・8/11(日) 20:30 女子決勝(NHK総合) / 3位決定戦

>>結果詳細は「パリ2024オリンピック 特設サイト」(リンクは外部サイト/FIBA公式)

女子バスケ代表がパリ五輪へ…「走り勝つシューター軍団」が29日28時より初戦に挑む

TEXT by Hiroyuki Ohashi

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