COLUMN
2024.07.06

パリへ高まる熱気…3人制と5人制で2大会連続の五輪へ挑む山本麻衣と馬瓜ステファニーの思い

　試合後の選手たちが通り抜けるミックスゾーンで、多数のペン記者たちがお目当ての選手を待っている。プラ柵でメディアが待機する導線が設けられたものの、ぎゅうぎゅうだ。パリオリンピックへ出場するバスケットボール日本代表への注目が高まっていると、改めて感じられた。

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日本バスケットボール協会(JBA)(@japan_basketball)がシェアした投稿

　7月4日、女子日本代表が有明アリーナ (東京都江東区)で国際強化試合となる「三井不動産カップ2024 (東京大会)」のGAME1を迎え、女子ニュージーランド代表に125 ‒ 57で快勝。恩塚亨ヘッドコーチの下、「走り勝つシューター軍団」をコンセプトに掲げたチームは25本の3ポイントシュートを射抜くなど、女子日本代表戦として史上最多となる11,624人の観衆を沸かせた。

　ミックスゾーンも熱気があった。意中の選手を取材しようとこちらも気を張っているような感覚だ。メディアルームなど会場キャパの都合によって報道陣の受け入れに定員が定められたため、我々に許諾された取材枠はペン区分の1つのみという事情もあった。

3年前には感じられなかったオリンピックへの道
　そんな中、声を掛けて立ち止まってくれたのは、14得点を挙げた馬瓜ステファニー（PF / 182cm / CASADEMONT ZARAGOZA）だ。彼女と言えば、3年前の東京オリンピックで有明アリーナの近所にあった青海アーバンスポーツパークで、3ｘ3女子日本代表として奮闘した姿が思い出される。当時はコロナ禍のため、オリンピックもその過程も無観客だったが、今回は違う。いまの状況に嬉しさをにじませる。

「いや、そうなんですよね！東京オリンピックは無観客でした。でもこうやって日本の皆さんの前でやれるのは、すごく楽しいです。1万人を超えるお客さんが、女子バスケを見に来てくれるのは本当に時代も進んでるのかなと思いますし、日本でやっている選手みんなのすごさだったりも感じましたね」

　ただ、結果こそ大勝だったが、これは相手が大学生が多いチーム編成だったことも考慮しておきたい。日本はペイントエリアにボールを入れられる前にプレッシャーを何度もかけるなど、35本のターンオーバーを誘ったが、トールファーンズも要所で、体格差をいかしてシュートをねじ込む強さがあった。

　ステファニーも、その強さを感じた。「相手は大学生メインとは言え、ボールを運んできたところの最後のフィニッシュでやられたり、バスケットカウントに持って行かれるところがありました」という。GAME2に向けて「まだまだ自分たちも（ディフェンスで）周りの助けが必要なところがあります。その課題をしっかり土曜日（7/6）は直していきたい」と、チームとしてさらなる仕上がりを誓った。　

世界的にも稀な3人制に続き、5人制で五輪へ
　一方で、ステファニーと同じくTOKYOでは3×3代表として、Parisでは5人制代表としてオリンピックへ出場する選手がもう一人いる。山本麻衣（SG / 163cm / トヨタ自動車アンテロープス）だ。彼女はこの日、チーム最多の20得点をマーク。恩塚HCが「スコアリング能力は世界トップクラス」の太鼓判を押している、その実力を遺憾なく発揮した。

　山本は、記者会見へやってきた。「チームとしてディフェンスに課題を持って試合に入ったのですが、そのディフェンスでしっかりとやり切れたところと、少し相手に合わせてできなかった部分がありました。そこを修正して、明後日（7/6）のゲームは40分間、日本のバスケができたらいいなと思っています」と、振り返る。

　さらに10本中6本の3ポイントシュートを射抜いた結果に一定の手ごたえを示しつつも、「何本か決めたかったシュートがあるので、そこは決めきれるように明後日やっていきたい」と、次戦へ意気込んだ。

　3×3代表から5人制代表へ飛躍した山本麻衣と、馬瓜ステファニー。両競技で2大会連続のオリンピアンになるケースは世界的にも稀だ。他国では、アメリカ代表のKelsey Plumと、Jackie Youngである。

　そんなユニークなキャリアについて6月30日の女子代表メディアデーで訊くと、山本は「すごく光栄なことなので、自分にしかできないプレーをやっていきたい」とコメント。ステファニーもメダルに届かず4位だった当時の記憶を交えて「（パリは）その悔しさを晴らすという思いもありますし、前回オリンピックを経験したとは言え、無観客でした。今回はホームでは無いので空気感は変わってくると思う。緊張せずに頑張りたい」と語っていた。