代々木ではじけたZOOS のりかの笑顔 ーー「ALLDAY 2024 SPRING」ウィメンズトーナメントMVP
「Aoiさんはじめ、選手のみんなにすごく感謝」
選手たちが泣き、笑う中、のりか(#1)の笑顔が代々木公園バスケットボールコートでひときわはじけた。彼女はAoi(桂葵)に誘われて、5月25日、26日に開催された「ALLDAY 2024 SPRING」ウィメンズトーナメントへZOOSの一員として出場。初代チャンピオンに輝き、MVPにも選ばれて、忘れられない週末を嚙みしめた。
「Aoiさんがこだわりを持ってピックアップした選手たちと一緒にバスケができて、新しい出会いもありました。Aoiさんの言葉を借りると“非日常”っていう、その楽しさを詰め込んだ空間をともに感じることができて嬉しいです。それを作り出してくれたAoiさんはじめ、選手のみんなにすごく感謝しています!」
2日間を振り返ると、ZOOSは25日の初戦で元気人を31-15で破り、26日のSemi Finalではrag-bagを23-8で撃破。FinalではDifferentを27-17で下して頂点に駆け上がる。のりかは、その3試合でチームをけん引した。特に1試合目が思い出深いという。
「初めてみんなと試合をして、選手同士が繋がるプレーですね。これが印象に残っています。アシストをしたり、誰かが打ったシュートに対してリバンドへ思いっきり飛び込んでいったり。コート上でお互いが気持ちをぶつけ合う、仲間として認識しあう瞬間がすごく楽しかったです」
初めてのALLDAYに…「ストリートの魂も垣間見れました」
のりかと言えば、大学時代にはNCAAの強豪ルイビル大学に留学し、卒業後はWリーグのデンソー・アイリスへ加入。これまで5人制や3人制でも日本代表の経験を持つ。そんな彼女は、Aoiの人柄にも惹かれてWリーグの1シーズン目を終えた初めてのオフをZOOSで過ごしている。
そんな中で、ALLDAYにも初出場した。代々木で19年紡がれた歴史も当初は知らなかったそうだが、Aoiからその生い立ちを聞き、自分でも目の当たりにすることで得るものも多かった。
「Aoiさんから、最初はボーラーがリングを代々木に持ち込んで、コートが生み出されたというストーリーを聞いてリスペクトを持ちましたし、そんな場所でバスケができるんだと思うと、鳥肌も立ったんです。大会が始まって、男子の試合を見ている内にバスケに対する熱さや、ストリートの魂も垣間見れました。一人のバスケ選手として勉強になったし、自分のエネルギーになりました!それを理解した上で女子の第1回大会に立てて本当に感謝しています。素敵な瞬間になりました」
Wリーグ入り後初めてのオフ…「ZOOSに感謝しています」
今回、のりかにとってZOOSで過ごし、世代やカテゴリーを超えて様々な選手たちとバスケができる経験は、自分の想像を超えるものになった。大学時代にアメリカからオフシーズンに一時帰国して、練習環境を探すなど苦労していた経験があっただけに、当初Wリーグのルーキーシーズンを終えたときも、過ごし方をイメージできなかったという。
そんな中、Aoiに誘われて3×3やALLDAYを体感し、「自分が想像していなかった瞬間、感情、価値が生まれて、もう感謝してもしきれない」と、彼女は明かす。
さらに、トップレベルでプレーする選手たちにとって、オフの過ごし方は、今後のキャリアを占う大事な期間。Final後の表彰式で涙の無かったのりかも、やや目に光るものを見せながら、思いの丈をも明かした。
「純粋に楽しい。ピュアにバスケが楽しいと思える瞬間は、なかなか無いですし、それを作り出せるのは本当にすごいことだと思うんですよ。誰かが輝ける場所を提供するというZOOSの思いがあって、そのおかげでみんなが良い笑顔で、良いバイブスでやっていることがもうなんか・・・・・。自分が悩むこともあるんですけど、それはもう向き合わなきゃいけないし、1回そこから抜け出して楽しい瞬間を提供してくれるZOOSに感謝しています。すごくいいコミュニティだと思います」
成長を誓うのりか…「もっと恩返しできるようになりたい」
そして、のりかはZOOSでのひと時を経て、今後に続くキャリアに向けて成長を誓った。自分のMVPが発表された瞬間、真っ先に号泣したAoiの姿を見て、「自分のことをすごく知っていて(気持ちが)落ちているときも、輝いているときも知ってて、それを分かった上で自分が(ALLDAYで)輝いているところを間近に見て喜んでくれての涙だったので、その思いに感動しました」と振り返り、次のように結んだ。
「誰かを想う温かい気持ちを持った人たちがいることを忘れたくないし、それを自分の力にして、また厳しい世界で頑張りたいと思います。ZOOSは私にとって新しい心のスペースというか、ありがたい存在です。きょう集まったそれぞれの選手が成長して、また自分も大きくなってZOOSに戻ってきて、もっと恩返しできるようになりたいです」
■プロフィール
のりか | 今野紀花
2000年5月1日生まれの宮城県出身。地元の聖和学園高校を経て、アメリカ・ルイビル大学へ留学。NCAAトーナメントにも出場した。日本代表歴もあり、5人制のU18、U19代表を務めたほか、3人制でもU23やA代表として国際大会へ出場した。卒業後に帰国し、2023-24シーズンよりWリーグ所属のデンソー・アイリスに加入。身長179cm。ポジションはシューティングガード。
Instagram@norika_konno0501
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TEXT by Hiroyuki Ohashi
PHOTO by Kasim Ericson & ミッシー