44STREETのKKが代々木で記憶に残るボーラーに ーー「ALLDAY 2024 SPRING」MVP
4年前と同じ、仲間あっての優勝とMVP
5月26日、日の暮れかけた代々木公園バスケットボールコートで、 44STREETのボーラーたちが歓喜した。史上最大78チームによる「ALLDAY 2024 SPRING」を制して、KK(#3)は開口一番「もうもう普通に嬉しいです!」と、喜びを嚙みしめる。
この日、彼らはQuarter FinalでディフェンディングチャンピオンのUNDERDOGを24-18で破り、Semi FinalではYUKKE率いる22 Basketballに17-14で逆転勝ち。FinalではKKと双璧をなすチームの稼ぎ頭・RYOを欠きながらも、TEAM-Sを24-13で下した。KKはそんな戦いにおいて劣勢の場面や、流れを渡したくない局面でオフェンスでもディフェンスでも輝きを放ち、MVPに選ばれた。
ただ、その勲章の受け止めは至って謙虚だ。「本当にありきたりな言葉なんですけど、俺だけでMVPを取れたわけではないので。本当にチームは今回雰囲気が良くて、誰が取ってもおかしくなかったと思います」と。4年前に豊洲にあったTokyo Sport Playground Sport x Artで開かれた「ALLDAY 2020 AUTUMN」で初優勝を飾ったときも、そうだった。当時「普通に嬉しいです!はじめてのALLDAYタイトルなので、みんなのおかげで勝てた」と話していた言葉が思い出される。仲間あっての優勝とMVPなのだ。
頂点に駆け上がる力…「ふざけんなっていう気持ちで」
そんな2020年初Vの記憶は、今大会の頂点に駆け上がる上で大きな力になった。KKは、語気を強めて言う。
「あのとき豊洲で優勝しましたけど、今回のALLDAYでTOKYO 23でいろいろなイベントをやったじゃないすか。でも、あの豊洲のシーンだけカットされたんですよ!俺はそれがすごく悔しくて!ふざけんなっていう気持ちで今日戦いました」
そして、並々ならぬ気持ちで難敵をなぎ倒しての勝利は、とにかく彼らのタフさが光った。UNDERDOG戦では後半、膠着した展開をディフェンスで我慢してから流れを引き寄せ、22 Basketballに対しても残り2分から試合をまくった。「ALLDAY 2022 AUTUMN」のFinalで敗れたTEAM-Sにも雪辱。チーム全員が激しく球際で体を張り、前から仕掛けるフルコートプレスから転じるオフェンスは鋭かった。勝因について「本当にありきたりなんですけど、リバウンド・ルーズボールです。本当にチームとして徹底してやり切った結果だと思います」とKKは胸を張った。
ストリートボーラーが、代々木で勝つ心境とは?
一方で、44STREETにとってもKKにとっても、代々木でALLDAYのタイトルを獲るのはこれが初めて。4年前はコロナ禍だったため、ALLDAYはイレギュラーな開催を余儀なくされていた。さらに、2DAYS開催から4DAYS開催にパワーアップした記念すべき最初のトーナメントでのチャンピオンになったのだ。
国内外さまざまなプレイグラウンドでストリートボールをやってきたKKとしても、代々木は特別な場所のひとつ。彼は「代々木でも練習をやってきました。これだけ豪華な会場をセットしてくれて、そこで優勝できてMVPも獲れてすごい嬉しいです」と、心境を明かす。加えて、ストリートボールの魅力についても、改めて語ってくれた。
「自分たちでできるところですね。オレたちは監督がいないので、自由じゃないですか。本当に何をやってもいい。もちろんALLDAYはルールがある中で自由に、自分が好きなバスケットボールをこれだけ多くの人に見てもらえる。これは、すごい光栄なことです」
これからのKK…「少しでも記憶に残る選手」に
そんなKKも今年7月で31歳を迎える。ボーラーとして年齢を重ねる中で「若いピンピンのボーラーが来ている中で、自分も負けたくない」と話す一方で、まだまだベテランにさせてくれない存在も挙げた。
「会社でK-TAさんがいますからね。俺の一回り上、12個上がまだまだ現役。俺は全然まだまだ辞められないです」
KK曰く、目指すボーラー像は「見に来てくれた人に少しでも記憶に残る選手」だ。19年の歴史があるALLDAYで複数回のMVP受賞は数えるほどだけに、この日の活躍は今一度、代々木に彼の存在を印象づけたことは間違いない。彼がK-TAのデカい背中を追うように、これからは44STREETのKKが若いボーラーに追われる存在になっていく。
■プロフィール
KK | 加藤慧
1993年7月26日生まれの鳥取県出身。身長175cm。鳥取東高校、日本体育大学と進み、アイシン・エィ・ダブリュ アレイオンズ安城(当時NBDL/B3所属)でプレーした過去もある。
また、日体大在学中からSOMECITY TOKYO の44STREETに所属。大学卒業と同時に愛知へ拠点を移し、SOMECITY NAGOYAにてInYourFaceを結成。2018-2019 THE FINALで準優勝を経験後、44STREETへ戻る。ALLDAYでは2020 AUTUMNで初優勝とMVPに。Team ballaholicの一員として海外にも出向く。
Instagram@kk____34
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TEXT by Hiroyuki Ohashi
PHOTO by Kasim Ericson & ミッシー