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  • 2020.10.30

SIMONが3×3の新大会『F1 Tournament』で初優勝、1日6試合を戦い抜く

コロナ禍ではじまった3×3の新大会を初制覇したのは、SIMONだった。朝10時スタートのワイルドカードトーナメントからはじまって、約8時間半以上に及ぶタフなトーナメントを戦い抜いた。TOKYO SPORT PLAYGROUNDで繰り広げられた、チャンピオンを決める1日をお届けしたい。

最後の1枠が決定、幕を開けたFINAL
3×3の新大会『F1 Tournament』のツアー優勝決定戦、FINALが10月24日に開催された。豊洲にオープンしたTOKYO SPORT PLAYGROUND SPORT×ART内にあるAIR RAID COURTに9チームが集結。7チームのラウンドチャンピオンと主催者推薦の1チーム、さらには当日の午前中に開催された4チームによるワイルドカードトーナメント(以下WC)は、SIMONが勝ち上がってきた。SHINAGAWA CCとの初戦を18-11で制すると、続くALBORADAを下したCrayonには21-20で勝ち切った。最後の1枠が埋まって、役者が出そろった頂点を目指す舞台は、ついに幕を開けた。



戦前の予想通り、ワンチャンにかけたが…
まず、9チームが3チームずつに割り振られた予選POOLを振り返ってみたい。戦前の予想通り、Pool AではSolviento KamakuraがSANJO BEATERSとBOORINSを破って、危なげなく首位通過(予選1位)を決めた。またPOOL BはBEEFMANが新鋭のHIU ZEROCKETSに21-13で快勝。終始、冷静な試合運びでチームとして戦う力の差を感じさせた。続くKyushuSelectionも退けて、決勝トーナメント進出(予選2位)を果たした。



一方、POOL Cは三つ巴の争い。SIMONが元Novi Sad、YOKOHAMA CITY.EXEでプレーしたNikola Pavlovicの活躍で、NINJA AIRSを21-16で下す。しかし彼らに対して、TOKYO LEDONIARSが22-14で土をつけた。黒澤勇樹(#6)の2ポイントシュートでリードを奪い、宇野善昭のNikolaに対する好守が光った。そして決勝トーナメント進出は最後のNINJA AIRSとTOKYO LEDONIARSの結果に委ねられ、延長戦の末にTOKYO LEDONIARSが20-18でNINJA AIRS を破って、POOL1位を確保(予選3位)。SIMONは1勝1敗となったが総得点とチームが持つ合計のFIBAポイントで、他のPOOL2位を上回り、全体2位(予選4位)で準決勝へ駒を進めた。


対照的に「ワンチャンスにかけています」と意気込んだNINJA AIRSは惜しくも予選敗退。最後のLEDONIARS戦で延長戦を制していれば、彼らはSIMONを上回っていた。試合後、柏尾耕資(#3)はいつになく悔しさをにじませた。

「勝てた試合でした…ワンチャンと言っても、僕らも3年目のチームです。勝つべき試合はちゃんとモノにして、その上で自分たちより格上の相手にワンチャンを狙う。周りの方にワクワクやドキドキを与えるバスケをしたいと思っていました。練習を通して共通理解をみんなで作ってきましたけど、今日は自分もチームも本当に悔しい。勝っても負けても、楽しいと思わるゲームを常に意識していますが、今日は悔いが残ります」

白星はつかめなかったが、運動量とコンビネーションを磨いてFINALを戦ったNINJAたち。劣勢でもシュートがなかなか決まらなった船尾和希(#7)を信じてパスを出し、最後にその期待に本人がこたえて、延長戦に持ち込む力となった。4人で戦う姿勢は崩さなかった地方参戦組は、たしかな見せ場を作ってくれた。

横浜決戦を制したSIMONがツアー優勝
さて、昼間の熱戦を経て、大会はいよいよ4強による決勝トーナメントを迎えた。ナイトゲーム仕様で照明にスイッチが入って、準決勝がスタート。第1試合ではSIMONがSolviento Kamakuraを延長戦の末に21-19で下した。特に土壇場で17-19から同点に追く川崎ローレンス(#73)のビックショットは見事。本人も「いやーもう、あれはメンタルです。気迫で負けちゃダメだなと思いました」と振り返る。また第2試合ではBEEFMANがTOKYO LEDONIARSを21-14で破って、決勝行きを決めた。

そしてSIMONとBEEFMANの横浜決戦となったツアーFINALは、最後までどちらに勝利が転ぶか分からない攻防となった。残り3分を切って14-13で1点ビハインドのBEEFMANがタイムアウトを要求。しかし直後にSIMONがNikolaのドライブでスコアすると、その後は相手フリースローの失投も追い風に、17-16で反撃をしのいだ。初戦から約8時半以上、じつに6試合のタフな1日を乗り切った末に、彼らはF1 Tournament初代チャンピオンに輝いた。MVPにはNikola Pavlovic(#1)が選出。世界レベルのセルビアンボーラーが、大会の数日前に合流したチームにフィットして、優勝の原動力になった。





試合後、Nikolaは「SIMONでプレーできることを、とても楽しみにしていました。これからさらに頑張っていきたい」とコメント。コロナ禍のヨーロッパではスペインにいたことで、「ロックダウンで完全に3か月間は何もできない状態でしたので、自分ができるフィジカルなケアをやっていました」と最低限の取り組みしかできなかったと明かす。

またチームで連携を確認する時間がほとんどなかった。しかし、ローレンス曰く「僕は大会前日にはじめて一緒にやりました。でも2年前からお互いを知っていたので、プレースタイルは分かっています。『お互いこうやろうな』という具合で、バチっと4人がハマッた感じでしたね」とのこと。ぶっつけ本番に近い状態ながらも、短時間で合わせ、大会を通して息を合わせていった。

今後、Nikolaを迎えたSIMONはどんなチームに仕上がっていくのか。彼自身は「とにかく日本のすべてが大好きです。SIMONにいることもそうですけど、ここでいろいろなことを経験したい」と、再び日本で過ごすことに意欲的である。未完成のチャンピオンが成長する姿に、期待が膨らむばかりだ。

主催者がツアーを終えて思うこと
9月12日に開幕した『F1 Tournament』は約1カ月半のツアーを無事に終了した。コロナ禍の状況で、3×3の公式戦としてはいの一番でスタートした。前例のない舵取りとなったが、ツアーを通して出場した選手たちからはゲームができる充実感が数多く聞かれた。今大会もローレンスから「本当にこのような状況で、いろいろな工夫をしながら、大会をやっていただいて感謝です。また僕たちは、それに対してプレーでこたえることが必要だと思っていました。でもやっぱり、純粋に楽しかったですね!」という声が寄せられている。

全日程を終えて、オーガナイザーのちゃん岡こと、岡田慧氏はホッとした表情を見せた。地方予選の3大会を取り仕切った松岡健太郎氏とともに、夏ごろから準備を進めて、とうとう完走した。FINALの本レポートは彼のコメントでクロージングしたい。

「あのタイミング(=今年夏ごろ)で会場となる体育館が取れるのか、そんなところから始まりました。様々な制限がある中で、協力会社のB-BOOKSさんのおかげで、予選がいくつも開催できたり、自分が進めていたF1 STUDIOのコートを使うこともできました。いろんなことがタイミングよく重なりましたね。さらに最後ね、この素晴らしい豊洲の新コートでFINALをすることができて、本当にありがたいです。ラストがこんな光景になるとは、僕は全然思っていなかったです(笑)

あと運も良かったです。今日も天気が最高でした。スタッフやレフリーの皆さんと、『久しぶりにこんな良い天気の下、昼から3×3の大会をやっているね』という話をしていました。レフリーの皆さんが眠らせていたサングラスを、引きずり出すことができましたよ。

本当にコロナ禍という大変な時期でしたけど、多くの方に支えられたおかげです。ありがとうございました」

SIMONが3x3の新大会『F1 Tournament』で初優勝、1日6試合を戦い抜く

TEXT by Hiroyuki Ohashi

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