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  • 2026.05.01

ストリート仕込みの爆発力で10年選手へ/丹野合気 a.k.a. AIKI インタビュー

44STREET(フォーティーフォー・ストリート)。
TEAM ballaholicとしても活動するKKとRYOの二枚看板を擁して、先日行なわれた“ストリートボール日本一決定戦”SOMECITY 2025-2026 THE FINALで悲願の初優勝を遂げた、業界最注目のストリートボールクルーである。

44STREETが結成されたのは、2014年のこと。
活動初期のオリジナルメンバーには、KKをはじめ、KOSUKE(STREET2WIN)・TAKA(S.H.U.SENDAI)など、現在のストリートボールシーンを語るうえで外せない、錚々たる顔ぶれが並ぶ。
幾度かのメンバーチェンジを挟みながら、チーム創設の翌年には、予選『WHO’S GOT GAME?』を勝ち抜き、SOMECITY TOKYOのレギュラーチームに昇格。
その“44第2世代”を代表するボーラーの1人が、AIKIだ。

ボーイ・ミーツ・ストリートボール。
育ち盛りの19歳は、明星大学2年時にイエローコートデビューを果たすと、鋭いドライブや3ptシュートを武器に、ハイライトシーンを次々と量産。
自由で刺激的なストリートボールの世界で、メキメキと頭角を表していった。
その一方、所属する明星大学男子バスケットボール部でも、超攻撃型のPGとして活躍。
2015年の秋リーグでは、明星大学の関東大学リーグ4部全勝優勝・3部昇格に貢献するなど、大学バスケにも情熱を注ぐ、ballaholicなキャンパスライフを送る。

ストリート×大学バスケの二刀流で持ち前の得点能力に磨きをかけると、4年時にトライアウトを受験し、当時B3リーグに所属していた東京エクセレンス(現:横浜エクセレンス/B2リーグ)から見事プロ契約を勝ち取った。
2017年6月、ストリート育ちの現役カレッジボーラーは、大学生Bリーガー・丹野合気として、プロバスケットボール選手としてのキャリアを歩み始める。

東京エクセレンスで3年を過ごした後は、ライジングゼファー福岡、さいたまブロンコス、鹿児島レブナイズと複数のクラブを渡り歩き、2025-2026シーズンはB3・湘南ユナイテッドBCに在籍。

しかしながら、プロ9年目の今季は、度重なる怪我に悩まされ、1年を通じて計16試合・約150分の出場に留まった。
4/17(金)・18(土)に行なわれた最終節・しながわシティバスケットボールクラブ戦でも、怪我の影響で無念のDNPに終わってしまう。
今回のインタビューでは、「キャリア史上最も苦しんだ」という今季を振り返ると共に、自身のルーツでもあるストリートに対する想いを語ってもらった。

ー本日はよろしくお願いいたします。怪我に苦しんだシーズンだったと思いますが、どんな1年でしたか?

AIKI:自分自身のバスケットボールキャリアで、一番試合に出られなかったシーズンでした。

開幕当初はチームにコミットできなくて試合に出れない時期があったんですけど、シーズンを通じて怪我の影響が大きかったですね。

シーズンが進むにつれて、段々とチームにフィットしてきたのに、ようやく試合に出られるようになった時に怪我をしてしまって……3ヶ月ほど離脱してしまいました。

何とかシーズン終盤には間に合って、3/9(日)の東京ユナイテッドバスケットボールクラブ戦で復帰(20:22出場)することができたんですけど。
また別の箇所を傷めてしまい、結局完治できないままシーズンが終了してしまいました。

ー『コミットできなかった』というのは、『チームが掲げる戦術・スタイルにアジャストできなかった』ということでしょうか?

AIKI:同じポジション・SGの2人(中野広大、石井智大)は、どちらもシュートが上手いので、その中で違いを出す必要がありました。
本当は、もう少しボールに触って、自分でクリエイトしたかったんですけど……。
今シーズンは、それが自分の役割ではなかったというか。
ポイントガードが一番ボールを持つシステムだったので、SGの自分がボールを持っちゃうと、なかなか上手くいかない。
そこで結構苦しみました。

ー今シーズンにかけて、戦術の変更があったんでしょうか?

AIKI:今年が湘南ユナイテッドBCで迎える3年目のシーズンだったんですけど、1年目はそこまで決まりがありませんでした。
ツーガードでボールに触れる機会が多かったので、得点にもだいぶ絡めていたんですけど。2年目からだんだん変わっていった印象です。
それでも昨シーズンは、まだボールに触ったり点を取ったりした試合がありましたが、今年からは、より顕著にポイントガードがボールを多く触るようになりました。
ポケットゲームをして、インサイドにディフェンスが寄ったら、コーナーのシューターにパスを出す。
シューターがいなかったら、そのままポケットゲームで完結する…というのが今年のバスケだったんですけど、なかなかアジャストできませんでした。

僕はキャリアを通して、ストリート時代からずっと、自分で点を取ることを大事にしていたので、自分の理想とするバスケではなかったですし、やっぱり自分で点を取りたいですし……。
怪我もしちゃって、なかなか上手くいかなかったですね。

ー湘南ユナイテッドBCは、どんなスタイルのチームですか?

AIKI:基本的には、ディフェンスにプライドを持っているチームです。
きちんとディフェンスをやってからトランジションに移行して、ハーフコートバスケになったらポケットゲームをして、コーナーに捌いて…というバスケでした。
シーズン序盤は上手くいかない試合の方が多かったものの、シーズン後半戦は上手く機能した試合が増えていったように思います。
ただ、外国籍選手などの怪我が続いたこともあり、なかなか勝ち星を増やすことができませんでした。

ー3月の東京ユナイテッドバスケットボールクラブ戦では、比較的日本人選手の目立つ、『遂行力の高いチーム』という印象を受けました。

AIKI:そうですね。チームのスタイルを遂行している時は、上手くいっている試合の方が多いと思います。
誰が試合に出ても活躍できるというか、良い意味でその日に誰が活躍するか分からないのが、うちの良さというか、強みというか。
日本人選手の得点能力やスキルは高いと思います。

逆に、個々のスキルが高い分、それぞれのタイミングでシュートを打ってしまって、自分たちから崩れちゃうケースが多かったですね。

ー今シーズン、チームから求められていた役割を教えてください。

AIKI:求められていたのは、ポイントガードではなく、シューティングガードとして、コーナーにステイして、シュートを決め切ることです。
その中でもHCから『自分らしさを忘れないでほしい、違いを出してほしい』と言われていたので、コートに入ったら、積極的にシュートを打ったり、自分でクリエイトしたりすることを心がけていました。
数試合は自分らしいプレーが出せたと思うんですけど、継続するのが難しかったですね。

ーそれは、ボールに触る機会が少なくて、自分のリズムを作りづらかったからでしょうか?

AIKI:そうですね。そこでストレスを感じてしまって、上手くいかないことが続いて、コーチへの印象が悪くなって交代…というループが続いてしまいました。

ーいよいよ来季はプロ通算10年目、キャリアの節目を迎えます。現時点で掲げている目標があれば教えてください。

AIKI:来期からリーグが改変されるのでどうなるか分かりませんが、個人の目標としては、やっぱりもっと試合に出たい。
自分の求めているバスケットボールと選手像に、もっと近づきたいですね。
今シーズンを経て、理想と現実のバランスが少しずつ見えてきてたので、チームの戦術を遂行しながらも、自分の強みを出せる選手になりたいなと思います。

ー自身が思う、『丹野合気』というバスケットボール選手の強みを教えてください

AIKI:爆発力、得点を取ることです。
やっぱり、得点を取るのが楽しいし。
バスケやるなら、得点を取らないとやる意味ないでしょ!と思っています。

ーありがとうございます。ここまでのバスケキャリアを振り返って、自身の強みである『爆発力』を自覚した瞬間や、ターニングポイントになった出来事があれば教えてください。

AIKI:大学生の時に出場した、『NIGHT COLLEGE』というイベントですね。
当時は明星大学のバスケットボール部に所属しながら、ストリートボールクルー・44STREETの一員として、ストリートボールリーグ・SOMECITYに出場していました。

NIGHT COLLEGEは、関東1部・2部などに所属する将来有望な大学バスケ選手を招いて開催される、SOMECITYのスピンオフイベントです。
『ストリート』と『カレッジ』がそれぞれ複数の即席チームを作って、1日限りのトーナメント戦を行ないます。

僕はストリート側のチームで出場したのですが、対戦したカレッジ側のチームには、橋本拓哉選手(2024-2025シーズン:大阪エヴェッサ/B1リーグ)や、神里和選手(2025-2026シーズン:青森ワッツ/B2リーグ)がいました。
当時の明星大学は関東大学3部に昇格したばかりで、僕自身のプレータイムはそこまで多くなかったと思います。
それでも、同じチームにKYONOSUKEさん(寺嶋 恭之介、2025-2026シーズン:青森ワッツ/B2リーグ)や、CHIHIROさん(平塚Connections)がいる中で、強豪大学の選手たちを相手に点を取ることができて、チームも優勝して、個人的にMVPまでいただきました。
その瞬間に「プロになりたい、プロになろう」と思ったことが、バスケ人生のターニングポイントになりましたね。

ー自分自身にとって、ストリートボールとは、どんな存在ですか?

AIKI:一言で表すなら、原点です。
現在のプレースタイルを作ってくれたのはストリートボールのおかげだし、ストリートボールに出会えたことで、練習することの楽しさや大事さを学びました。

普段着や練習着といったファッションをはじめ、色々なモノにこだわるようになりましたね。

ーもし、ストリートボールに出会っていなければ、どんなキャリアを送っていたと思いますか?

AIKI:大学2年時の挫折していた時期にストリートボールと出会って、ストリートボールを通じて色々な人たちに出会って……。
現在は幸せなバスケ人生を送っていますが、もしストリートボールと出会っていなかったら、きっと大学で競技バスケ人生は終わっていたと思います。

大学1年時は、メンバー入りこそしていたものの、ほぼ試合に絡めないままシーズンが終わってしまいました。
大学2年時にはBチームに落ちてしまって、そこから数ヶ月は本当にチャランポランな日々を過ごしていたと思います(笑)

でも、そのタイミングで『44STREETでWHO’S GOT GAME?(SOMECITY TOKYOの予選にあたるイベント)に出ないか?』と声をかけてもらって、ストリートの世界を知って、自分自身の甘さを痛感しました。

SOMECITYに関わる様になってから、KOSUKEさんとワークアウトをさせてもらっていたんですけど、あの人の考え方やマインドに大きく影響を受けています。
「これは頑張らないと、この人に一生追い付けないぞ」と引っ張られたことが、自分の中では大きかったですね。

44STREETの一員として出場したSOMECITYをはじめ、TEAM ballaholicの一員として日本全国を回るBall On Journy、強豪大学と対戦するNIGHT COLLEGEやTOKYO STREETBALL CLASSIC……。
ストリートに出会って、本当に色々な景色を見せてもらったことで、「プロになってもっと有名になりたい!」と思うようになったので。
ストリートに出会っていなかったら、プロバスケットボール選手にはなっていなかったと思います。

ープロになってからも、オフシーズンには、ご自身の『ルーツで』あるストリートのイベントへ積極的に参加されていますね。

AIKI:はい。直近は、2025年6月に明星大学で開催された『BACK TO OUR ROOTS STREET vs PRO』に出場しました。
ストリートのイベントに呼ばれると、下手なプレーは見せれないですし、オフシーズンでも怠けられないですよね。
ゲーム当日に合わせて、激しく練習していました(笑)
ストリートの舞台で、K-TAさん(F’SQUAD)やRYO(44STREET)を相手にする機会は、なかなかないので、「絶対に勝ちたい!活躍したい!」と思ってプレーしていました。

今後もストリートから呼んでいただけるなら、可能な限り出たいと思っています。

湘南ユナイテッドBCは、レギュラーシーズン最終節・しながわシティバスケットボール戦を連勝で飾ったものの、2025-2026シーズンを15チーム中11位で終了。
上位8チームで争われるPLAYOFFに進出することは叶わなかった。
また、2026年4月25日には、湘南ユナイテッドBCより、丹野合気が2025−2026シーズンで契約満了となり、Bリーグの自由交渉選手リストに公示されることが発表されている。
現時点で所属チームは未定だが、来季はプロ通算10年目の、節目となるシーズン。
ストリート仕込みの、AIKIらしい爆発力のあるプレーで、再びブースターを沸かせることができるのか。
度重なる怪我に泣いた悔しいシーズンが終わり、再起を賭けた勝負の1年が始まる。

ストリート仕込みの爆発力で10年選手へ/丹野合気 a.k.a. AIKI インタビュー

TEXT & PHOTO by Jose Ishii

丹野合気

湘南ユナイテッドBC

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