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  • 2021.11.19

3×3 JAPAN TOURのチャンピオンチームにいた縁の深い選手たち

日本バスケットボール協会(JBA)が主催する3×3の国内ツアー大会『3×3 JAPAN TOUR 2021 EXTREME』のシーズンチャンピオンを決めるFINALが、11月13日、14日の2日間にわたって東京・代々木第二体育館で開催された。4月からはじまったJAPAN TOURの最高峰カテゴリー・EXTREMEは男子8大会、女子7大会が行われ、ツアーポイントの上位9チームがFINALで激突。今回、熱戦の模様を振り返りつつ、チャンピオンチームにいた縁の深い選手たちにスポットを当てた。

BREXが今シーズン2冠を達成
 まず男子のFINALを制したチームは、UTSUNOMIYA BREXだった。彼らにとってJAPAN TOUR優勝は、2019シーズンに続き2度目。今シーズンに限れば9月の3×3.EXE PREMIER PLAYOFFSに続き、国内主要大会で2冠目となった。今大会には齊藤洋介(#11 以下YOSK)、Dusan Popovic(#5)、飯島康夫(#7)というPREMIERを3人で勝ち切ったメンバーに、柴田政勝(#3)を加えて出場。YOSKと柴田は高校時代から神奈川でお互いを知る同級生でもあった。


 BREXは予選を2戦全勝で突破し、準決勝ではCRAYONを21-14で破ると、決勝ではTOKYO DIMEと対戦。国内シーンをけん引するライバルとの頂上対決になった。ただ試合は序盤こそBREXが先行したものの、リバウンドやディフェンスでDIMEが激しさを見せ、ファウルトラブルも重なって中盤に逆転を許す苦しい展開へ。それでも終盤、YOSKのパスを受けたPopovicがシュートへ持ち込んでファウルを獲得。相手のファウルが8個目だったことで得た2本のフリースローを沈め、残り45秒で19-18の再逆転に成功すると、DIMEの反撃をしのぎ、最終スコア20-18で逃げ切った。Popovicは大会MVPにも選ばれる活躍を見せてくれた。

 そして試合後、YOSKは終盤までもつれた内容について「きつかったですね……」と切り出しながらも、改めて劣勢をひっくり返したチーム力に胸を張った。

「厳しい展開だったんですけど、僕らの良さは試合中に味方を鼓舞し合い、それをちゃんと受け入れて、気を引き締め直せることです。今日はファウルで苦しむ展開になりましたけど、リバウンドやルーズボールで緩んでしまった部分もありました。でも、そういうどっちに転ぶか分からないボールを自分たちのモノにしなきゃいけないと、最後に気を引き締めたことが、勝ちにつながったと思います」

Oizumiが設立2年目で初タイトル
 一方で女子は、初優勝チームが生まれた。設立2年目のPERITEC Inter Oizumiだ。岡田麻央(#1)、安江舞(#6)、大橋実奈(#37)のコアメンバー3人に、小沼めぐみ(#28)を加えた4人で、国内主要大会で初のタイトルを獲得。9月の3×3.EXE PREMIER PLAYOFFSの敗戦を乗り越え、チームとして成長を遂げた末の優勝だった。


 Oizumiは、予選を2連勝で通過すると、準決勝でYAIZU GR UNITEDを17-11で下し、決勝ではTOKYO DIMEと対戦。序盤から一進一退の攻防の中、中盤にかけて4人が持ち味を生かしながら徐々にリードを奪う。大橋がフィジカル、安江が高さをいかしながらペイントエリアでの戦いを制し、小沼はドライブ、岡田は要所でしっかりと得点を重ねていく。球際の争いでも負けず、粘り強いディフェンスでDIMEを振り切って、14-12でタイムアップを迎えた。


 大会MVPに選ばれた岡田は初優勝の喜びについて、設立当初を思い出しながら、次のように話した。

「最初は(チームが)ふわふわしていて、自分たちがタイトルを取る姿がイメージできていなかったんです。でも、この2年で試合や練習を重ねて、日本一になれるかもしれないという自信がどんどん出てきました。それこそYOSKさんがコーチをやってくださったので、こうすれば私たちは勝てるというイメージが明確になってきたんです。(今大会は)優勝できるチームになってきたという自覚が持てたタイミング。“ちょうど今だな”という時にバスケもみんなの気持ちもまとまって、優勝できたという感じです」

ファイナリストたちから思うこと
 YOSKはBREXの選手であるが、Oizumiのテクニカルアドバイザーも務めている。では、彼の目に彼女たちの優勝はどのように映ったのか。こう明かしてくれた。

「予選の試合を見て、そのまま今日の試合に臨んだら絶対に良くないよと、みんなに伝えていたんです。だから、今日は特に2試合目(決勝)は本当に目の色を変えて、どっちに転ぶか分からないボールをマイボールにしようと体を張って、まさに3×3という戦い方を体現したと思います。本当に彼女たちの成長が誇らしいですね。僕がコーチをはじめた当初と比べて、一人ひとりの意気込みが全く違いますし、彼女たちが一生懸命(僕に)ついてきてくれた部分も感じています。だから自分もその期待に応えないといけないと思っていました。優勝して笑顔になっている彼女たちの姿を見ると、本当に嬉しいです」

 奇しくも縁の深い選手がいるチーム同士の優勝で幕を閉じた今シーズンのJAPAN TOUR。加えて、頂点に届かなかったものの、TOKYO DIMEがアベックで決勝に進出したことも印象深い。お互い同じ場所で練習をすることも多いだけに、ゲームを見たり、会話を交わすことで、競技力アップにつながっているのかもしれない。5人制と違ってヘッドコーチのいないスポーツではあるものの、チームを高めるためには、客観的な視点から選手たちに助言が送られる環境が大きいのだろう。決勝のマッチアップからは、日本をけん引してきた選手やチームが、周囲の選手やチームを引き上げた様子を感じさせてくれた。

競技シーンの発展を期待して
 最後にコートで熱い戦いを繰り広げた選手たちの競技にかける思いを改めて記しておく。魅力を伝え、次世代シーンを育てていきたいという気持ち。岡田で言えばトヨタ紡織サンシャインラビッツでプレーしたWリーグ時代を経て、タレント活動や自身で株式会社サクラカゴを起業し、バスケットボールを発信している。またYOSKで言えば現役選手でありながら、高校生たちの3×3挑戦をサポートするプロジェクト『YOSK CHALLENGE』を筆頭に、普及活動にも尽力中。同プロジェクトはサクラカゴから支援も受けている。2人の言葉を結びに、ひたむきな取り組みがより良い3×3やバスケットボール界の未来を作ると、引き続き期待していきたい。

「私はWリーグも3×3も発信をしていきたい立場だったので、両方の楽しさを私を通して知ってくれる方が増えてくれたら嬉しいですし、そんな私が今日MVPを取れたことは本当にありがたいです。5人制と3人制は別の競技であると思っているんですけど、どちらもやることで両方に良いこともあるし、共存ができるスポーツです。それぞれの魅力があるので、同じ目線で伝えていきたいと思います」(岡田麻央)

「3×3のプロとして活動をしていることは選手として結果を残すことはもちろん、この3×3の舞台をもっともっと目指してくれる若者が増えるように普及活動を兼ねていきたいという気持ちがあるからです。日本郵政様のご協力で個人的にプロジェクト(YOSK CHALLENGE)をやっているんですけれど、3×3の全国大会予選で負けてしまった高校生たちが実はプロ選手登録をしたり、悔しくて泣いてしまった姿を見たりすると、彼らは本気で3×3に取り組んでプロを目指しているんだなと感じています。そんな選手たちがもっと日本で増えるように自分たちが結果を残して、この舞台をもっともっと良いものにしていきたいです。ここにいるスタッフの皆さん、そして応援してくださる皆さんの力を借りて、3×3の普及活動をもっとやっていきたいと思います。これからも変わらぬ応援、よろしくお願いいたします」(YOSK)

3x3 JAPAN TOURのチャンピオンチームにいた縁の深い選手たち

TEXT by Hiroyuki Ohashi

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