ブラジル人第一号リオから横浜に大物選手、レアンドロ・リマが参戦!

FEATURE | JUL. 25, 2017

多数のNBA選手を輩出しているブラジルのバスケットボールシーンへの注目が高まっている。そんな中、昨年のオリンピック・パラリンピック開催の記憶も新しい、南米大陸ブラジルのリオデジャネイロから、ストリート・バスケットボールシーンを席巻する世界的スターが来日した。盛り上がりを見せる日本の3×3プロリーグにブラジル人第一号の契約選手として参戦し注目を集めているレアンドロ・ソウザ・デ・リマは、2020年東京オリンピック正式種目となった3×3(3人制バスケットボール)のプロリーグ「3×3 PREMIER.EXE(スリー・バイ・スリー・プレミア・ドットエグゼ)に参戦するチームYOKOHAMA CITY.EXEと契約して日本での活動を始めたのだ。

リオから来日した本稿の主人公「レアンドロ・リマ」は東京オリンピックの3×3ブラジル代表の有力候補でもある。欧米をはじめ世界各地でのキャリアを誇る彼の知られざる人物像、キャリア、そして3×3 PREMIER.EXEにかける意気込みを探ってみた。本邦初の日本語化インタビューでは、プロフィールやキャリアと彼の生の声をお届けする。

【PROFILE】
レアンドロ・ソウザ・デ・リマ(Leandro Souza de Lima)
出身地:リオデジャネイロ
年齢:33歳 身長:198cm 右利き
ブラジルでの異名:“O Rei da Rua”「ストリートの王」

主な戦績とタイトル(抜粋)
3×3 PREMIER.EXE Round4.広島 MVP(優勝)
FIBA 3×3世界ランキング:37位(2017年7月取材時)
FIBA 3×3ブラジルランキング:1位(2017年7月取材時)
直近5年連続「ブラジル人最優秀選手」
2016年 FIBA 3×3 FIBA世界ランク9位 ブラジル2位
2016年「World Tour FIBA 3×3 Americas」メキシコ大会準優勝メンバー(サンパウロDC)
2015年「FIGHTBALL」準優勝
2012、13年 2年連続「RedBull King Of The Rock」覇者
2007年「AND1」覇者

その他、中国の「Jump10」やフランスの「Quai54」を始め、欧米・中東・アジアの15カ国で活動。ブラジルでは“O rei da rua”=「ストリートの王者」と呼ばれるブラジル最強のボーラーだ。5人制バスケではリオのフラメンゴとヴァスコ・ダ・ガマの2大名門にてユース、U23、成人の各リーグでリオ州覇者に輝いた実績もある。

ー生い立ちや、バスケットボールとの出会いについて教えて下さい

「リオデジャネイロにあるホシーニャの丘で生まれた(ここは世界的に有名な南米大陸最大規模のファヴェーラ(貧民街の丘)だ)。3歳の時、ホシーニャの中で起きた麻薬ディーラーと警察との銃撃戦に巻き込まれた父親と友人が目の前で撃ち殺されてしまったんだ。ホシーニャ内での暴力や抗争は激しく、伝説のF1覇者アイルトン・セナの寄付で作られた学校にも通ったが、学校は2度辞める事にもなった。でもお袋はいつも僕を応援し、女手一つで強く育て上げてくれた。本当にドン底の境遇だったから、今こうしていられるだなんて当時は思いもよらなかったんだ」

「レアンドロの地元:南米最大のファヴェーラ「ホシーニャの丘」には約7万人が住む。」

Photo/KTa☆brasil(ケイタブラジル)

ーバスケに目覚めたキッカケは?

「実は最初は当然…ブラジルNo.1スポーツであるサッカーをやっていたんだ。でも次第にバスケの方が自分に向いている事に地元ホシーニャのストリートのコートで日々試合することで気付き、熱中していったんだ。バスケは僕にとって、ファヴェーラのドン底の苦しみから抜け出すための“唯一の出口”だったんだ」

ーFIBA3x3へ参戦するきっかけは何ですか?

「14歳から3×3をはじめ、5人制もやっていた。19歳の時にサッカーでも有名な名門フラメンゴのバスケチームのメンバー入りをして歴史的名選手オスカル・シュミッチ率いるチームの一員としてリオ州選手権優勝も経験している。でも、それは僅か1年強くらいで、その後はプロとしての契約が今回来日するまで一度も穫れなかったんだ(*プロ選手となり食べて行けるのはほんの一握りの国内リーグ状況下…今ではようやくブラジル人NBA選手が珍しく無くなって来たが、国内リーグは何度も再編や混乱の歴史を辿り、現在のリーグNBBに整備されたのは2008年だ)。だから僕は働きに出たんだ。でもバスケを辞める事は出来ず、諦めずに長年、朝の9時から6時まで働き、仕事後の時間に1人でトレーニングを考えて練習、草バスケをひたすら続けて鍛えて来たんだ。結果的にストリートでバスケをし、目標に向けて自分で自分を1人で開発していくしか道は無かったんだ。まさにストリート・ボール育ちなんだ。転機は2012、13年に2年連続『RedBull King Of The Rock』の覇者となったことだ。そこで結果を出した事で業界の注目を浴びてニューヨークの『FIGHTBALL(http://www.fightball.co)』はもとより一気にストリートボールのシーンで、ブラジル人として初めて世界各地の大会へ呼ばれる道が開いたんだ。そしてようやく、去年になって初めて、3×3のチーム(サンパウロDC)の一員となることが出来たんだ。それまではずっと1人で1on1のストリート・ボール大会に挑戦し渡り歩いて来たんだ。6年前からはスペインのマジョルカ島をベースに欧米や世界各地のストリート・ボールの大会に出場し続けて来た」

ー日本の3×3 PREMIERへ参戦するきっかけは?

「3×3のチーム、サンパウロDCの選手として昨年メキシコで開催された『World Tour FIBA 3×3 Americas』で準優勝し、1人で戦うのではなく3×3チームの選手として初めて結果を出す事が出来たんだ。そして日本にしかない3×3のプロリーグに挑戦したいと思い、自分で探して売り込んだんだ」

ーYOKOHAMA.EXEで参戦して3戦が終わりました(取材は来日して2週間ほどの7/4)が、感触はどうですか?

「来日して時差ボケのまま、すぐに試合だった訳だけど、ようやくコンディションが戻って来たよ。日本は初めてだけど、日本独自の環境や条件、チームに早急に慣れてフィットしなくてはと思っている。日本では僕はまだ誰の事も知らないし、逆に自分も誰にも知られてもいない。だからトレーニングや人間関係など様々なコンディションを整えて日本に順応し、ベストを尽くし、結果を出して行く覚悟だ」

ー東京五輪へのモチベーションは?

「それは望むところだけど、今は目の前のやらなければならない事に集中すべきだと思っているよ。とにかくチームで結果を出す事、自分のプレイを改善すること、その為に良いトレーニングを日々しっかりやって行きたいと考えている。選手としての成長とチームへの貢献が目下最大の目標なんだ」

ー目標とするプレーヤーは?

「コービー・ブライアントだ。バスケをする事を心から愛し、キャリアを重ねても誰よりも早くコートに来て、そして誰よりも最後までトレーニングし、一戦一戦を本気で戦う姿勢に感銘をうけ、彼の様な選手や生き様を目標にしているんだ」

ー人生で目指しているゴールは?

「引退したら、地元リオのホシーニャの丘のコミュニティーに戻り、ストリート・バスケのプロジェクトを作って、若いやつらを指導し、チャンスを作ってあげたい。バスケ自体を指導する事はもとより、人生や社会で過酷な事が多い中、バスケを通じて、生きて行く事に必要な色々な力を与えてあげたいと考えている」

ー日本のファンにメッセージを

「何もかもが初めてで不慣れな日本だけど、どうか応援よろしくお願いします。1人でプレイや練習をする事が多かったキャリアだけど、世界初の3×3プロリーグである日本のプレミアリーグで、ブラジル人初のプロ選手として、そして僕自身も幼い頃から夢見続けた夢「プロリーグのチームとの契約」が33歳にして初めて叶いました。 YOKOHAMA.EXEの一員としてプレイ出来る事に本当に感謝し、誇りを感じています。それから僕の参戦、プレイを通じてリオやブラジルに興味を持ってもらえたら嬉しいです。ブラジルは沢山の喜びと人情にあふれている情熱的な国です。一度行ってみる価値は大いにあると思うからとにかく行ってバスケしてみて欲しいな」

ーブラジルに行ったら地元の人とバスケを楽しむ機会はありますか?

「リオのラゴーアにあるフラメンゴのクラブ施設、サンパウロだったらイビラプエラ公園とビラ・ロボスに2大コートがあるからそこに行けば混ざってプレーできると思うよ」

ー趣味は何かありますか?

「たまの休みに仲間とブラジル式のBBQ=Churrasco:シュハスコの時間を楽しむことくらいかな。何よりバスケ自体が僕の趣味なんだ。とにかくバスケが僕の全てなんだ」

ー今、ブラジルの曲でお気に入りはありますか?

Rob Machadoの”Só por você”だ」

ーブラジルの料理といっても、モスクワ位までの全欧州が入ってしまう大国だからその種類は多様ですが、何か好きなオススメメニューはありますか?

「家庭料理の『Salpicão』:サウピカォンだね。鶏肉のみじん切がサラダと混ぜられたものだよ。それから寿司は好きだよ。日本食は問題なく食べられる。もちろんブラジルの料理はたまには食べたいけどね」

ー今日はここ渋谷の人気ブラジルレストランTUCANO’S:トゥッカーノでランチをしましたが味はどうでしたか?

「美味かったよ!ブラジル人のスタッフもフレンドリーでノリが良くて、ブラジルに帰ったみたいだ。シュハスコ(ブラジル式BBQで色々な肉の部位が運ばれる)ではピッカーニャがめちゃ美味かったよ。日本に来て初めてブラジルの色々な料理を、シュハスコに限らずたらふく食べる事が出来て感激だ。僕の地元ホシーニャも知るアミーゴ、KTa☆brasil(ケイタブラジル)もここで金曜にDJやLIVEイベントするから、また来るよ。試合や遠征が被らなかったらだけど(笑)。トゥッカーノはとにかく美味でフレンドリーな店だから気に入ったよ!」


Photo/TUCANO’S Shibuya

インタビューを終えて・・・あまりに過酷な境遇だった少年時代。父や友人を銃撃戦で失ったショックと劣悪な環境と社会構造が生み出した貧困と難局。しかし母親の強い愛と献身的な支えを受け、自ら「苦しみから抜け出す唯一の出口」と喩えるバスケットボールを信じ続け、チャンスに恵まれなくても仕事をしながらも諦めずに1人続けた孤独のキャリア。リオから日本のチームYOKOHAMA CITY.EXEに加入したハングリーさと謙虚さ、真面目さにあふれる孤高の戦士レアンドロ・リマの体現に注目し応援していきたい。

最後に、自ら選手として海外で様々な経験を積んだキャリアのある同チームのオーナー兼選手、安藤正彦氏の存在無くしてレアンドロ・リマの加入も無かったはず。世界に先駆けた日本のプロリーグ3×3 PREMIER.EXEやバスケへの思い、果敢に道無き道を切り開いて行く勇者達に幸あれ!リーグと選手にご注目を!

Text:KTa☆brasil(ケイタブラジル)

取材協力:TUCANO’S ShibuyaYOKOHAMA CITY.EXE

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