2018-19 SEASON PLAYBACK|vol.3 岸本隆一

COLUMN | JUN. 14, 2019

2018-19シーズン、琉球ゴールデンキングスは2年連続でのセミファイナル敗退で終わった。琉球のPGといえば、岸本隆一が2013-14シーズンからずっと担ってきた。しかし、今シーズン開幕前、琉球は並里成、橋本竜馬という他チームで先発を務めてきた実績十分の司令塔を2人獲得する。このトリオを共存させるべくシーズンを通して試行錯誤が行われた。その中で岸本は、持ち前のシュート力を買われて先発のSGとして開幕を迎えた。

Text/Eiichi Suzuki

176cmの岸本にとってSGでプレーすることは、ほぼ全てでマッチアップする相手よりサイズでかなり劣る。また、SGとなることで、ボール運びをする機会も少なくなり、自然とボールタッチの回数も減るなど、今までと違うリズムでプレーすることを余儀なくされた。

予想されていたこととはいえ、こういった背景から本領を発揮できずにいると、開幕6試合目からはベンチスタートとなる。その後、先発起用もあったが、最終的な先発出場はわずか16試合に留まった。ただ、PGとSGの両方をこなせるコンボカードとして非凡な得点力を発揮し、シーズン中盤までは試合の流れを変えられるシックスマンとして素晴らしいパフォーマンスを披露。先発ではなくなったが、好調なチームを支える一員として存在感があった。


しかし、12月末ジョシュ・スコットが残りのシーズン絶望となる重傷でチームを離脱。琉球はインサイドの要を失い、オフェンスの再構築を迫られた。新たに加入したケビン・ジョーンズは、ジャンプシュートを得意とするビッグマン。ゴール下のアタックに優れたスコットとは真逆のタイプの選手なこともあって、後半戦の琉球は、オフェンスがうまくかみ合わず得点が伸びずに苦しんだ。その結果、より守備で我慢して勝ちをもぎ取っていくスタイルになり、自分より大きい選手を守らなければならない岸本にとって、さらに難しい状況となった。

チャンピオンシップにおいて、琉球はクォーターファイナル、セミファイナルの計6試合を戦ったが、岸本が最も出場したのは、名古屋ダイヤモンドドルフィンズとの第1戦で17分7秒、その他の5試合はすべて13分以下だった。この数字は、彼が最終的にはチームの主力になりきれなかったことを示すものだ。名古屋との第3戦では11分42秒の出場で16得点をマークする活躍を見せたが、アルバルク東京とのセミファイナルは3試合合計で9得点しか挙げられず、得意のオフェンス面でも好不調の波が激しいことを大一番で露呈してしまった。




シーズン最後の試合を終えた後、岸本は次のように消化不良に終わった悔しさを振り返る。

「自分のプレーが定まらなかったです。ゲームをコントロールするわけでもなく、点数にすごく執着するわけでもない。チームに中々、自分の力を還元できなかったです。シーズンが始まる前、自分の中でうまくいっていました。そしてどこか、そのままうまく行くと思う自分がいて、そこは甘かったです。シーズン前の段階での準備不足が課題、反省点となりました」


ただ、この苦しんだ経験があったからこそ、「こういう状況に置かれないと見えないこと、綺麗事では片付けられないこともたくさんありました。これでやっていくしかないという覚悟に近い気持ちを今は持っている。それを次につなげていきたい」と得られたものもあった。

“これでやっていくしかない”とは、やはり得点である。他のガード陣と比較した際、岸本の武器となるのは3ポイントラインの数メートル後方からでも沈められるロングスリーを筆頭とした外角シュートだ。


だからこそ、「とにかく得点に執着する。自分はそういう風にやってきました。点数を取るスキル、戦術理解力をもっとあげていく。短い時間でどれだけ点数をとれるかにもっと拘っていく。それが岸本隆一です」と言い切る。

スコアラーとして確固たる存在になるため、課題はいろいろあるが、その中でも岸本がまず重視するのは、メンタル面だ。「自分が決めてやる気持ちを心から持てるようにしないと生き残っていけないですし、チームにも貢献できない。本当の意味でポジション関係なく、自分のプレー、考えを信じきることが大事です。自分を疑うことなくプレーできるように準備していきたいです」



このオフシーズン、琉球はチーム創設時から在籍し続けた地元選手 “ミスター・キングス”としてファンから絶大な支持を受けていた金城茂之がプレータイムを求めて退団。さらに古川孝敏、橋本竜馬、須田侑太郎と複数の主力が移籍し、リーグ屈指の堅守をイチから作り直す必要があるなど、大きく揺れ動いている。

金城が去ったことでチーム在籍年数は最も長くなり、地元出身の生え抜きである岸本には今まで以上に“チームの顔”として様々な重圧がかかることになる。ただ、琉球が2年続けて敗退したセミファイナルの壁をぶち破り、ファイナルへと到達するためには岸本のステップアップが不可欠だ。様々な困難、葛藤を経て、得点への飽くなき執着という原点回帰を試みる彼の逆襲を楽しみに待ちたい。

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