開催国枠が決まった3×3を見つめ直す 日本代表とそれを競うライバル、国内シーンの行方

COLUMN | APR. 10, 2019

「本当にサバイバルな争いになると思う」――3×3国内ランキング1位の落合知也が2月の日本代表候補合宿で語ったように、日の丸を背負うメンバー争いはかつてないほど熾烈だ。ディレクターコーチのトーステン・ロイブル氏の下、強化体制も一新。BリーグやWリーグで活躍する選手や才能ある学生たちが招集されて、存在感を放つ。だが、「3×3をずっとやってきた者として、誰にも負けてはいけない(BEEFMAN/野呂竜比人)」と、それによって先駆者たちの闘争心はさらに火がついた。オリンピックの開催国枠も決まった、3×3シーンをいま一度、見つめ直したい。

Text/Hiroyuki Ohashi

3人制を主戦場に戦う者たちの方向性

来る東京オリンピックにおいて、出場国にはメンバー規定が設けられている。4人のうち、FIBA(国際バスケットボール連盟)の個人ランキングで、2名は「①国内TOP10以内」、もう2人は「②国内TOP50以内あるいは、男子選手で54,000ポイント以上、女子選手で36,000ポイント以上」を獲得していることが条件となる(いずれも2020年6月22日時点)。5人制をメインにする選手たちは、②をクリアしていくことが求められ、3×3を主戦場に戦う選手たちは、①に食い込んでいく必要がある。

先日開催された3×3.EXE TOURNAMENT JAPAN FINALでは国内のトップランカーたちが多数参戦。3×3は出場した大会の格付け(グレード)やそこでの順位、個人成績によって、得られるポイントが変動する。ポイントがそのまま自分のランキングに直結する仕組みであるため、よりグレードの高い大会を狙う。JAPAN FINALでは世界大会への出場権がかかっており、男子はそれが10段階ある中で2番目に高いグレードのFIBA 3×3 CHALLENGERにつながっていただけに、選手たちの意気込みは半端なかった。TEAM TOKYOの鈴木慶太は「プロサーキットで結果を残したい。そこでポイントを取って、最低でも(ランキング)TOP10に入らいないと、オリンピックの2枠に入れない。3x3メインの選手はそこに入り込むことを今季のモチベーションとしてやっていると思うので、僕らは1回でも多くのレッド(=FIBA 3×3 CHALLENGER)以上の大会に出ないといけない」と語る。

女子に至っては、WリーガーたちがTOP10に名を連ねており、男子以上にシビアだ。代表候補であり、国内ランキング2位のREXAKT・前田有香は「3×3メインの選手が、2人選ばれる保証がない」と危機感を持ち、「(5人制の選手に比べて)大会に出られるチャンスは、私たちが多いと思うので、ポイントはしっかり稼いでいきたい」と、3×3をメインで戦うアドバンテージは最大限にいかしていくことを、シーズン前に話している。JAPAN FINAL制覇によって得られた世界大会への切符は、他をリードする大きな成果と言えよう。

世界で勝つ姿を見せた先に

ただJAPAN FINALで男子は、優勝によって獲得できるその切符を、FIBA 3×3 WORLD TOUR MASTERSを経験する3人の外国籍プレイヤーをそろえたKARATSU LEO BLACKSが勝ち取った。TEAM TOKYOを筆頭に代表入りを目論む選手にとって悔しさは募るが、「彼らみたいなチームは世界にゴロゴロいる。しっかり超えないといけない(落合)」と、先々に結果を出していくためには、ここで下を向いている暇はない。サイズやフィジカルで上回る彼らを打ち破るには、やはり4人が徹底した共通理解の下に、攻守に精度を突き詰めながら、的確な状況判断を下せるかが、何よりも求められる。昨年のTEAM TOKYOは幾多の転戦でチームを作り上げ、海外の予選会を勝ち上がってMASTERS行きを決めたが、今季はそれをさらに磨き上げるべく、TOKYO DIME.EXEと一体になったロスターを構築。「基本的にシーズンを通して同じメンバーで連携をどんどん高め、チームの成熟度を上げていく狙い。去年やってみて、そこが一番大事。より多くの試合を4人なり、5人で積んでいくことが、日本のチームの勝ち方」と鈴木は明かす。BREX.EXEからDIMEへ移籍が発表された落合も、「自分のチームで(CHALLENGERやMASTERSへ)出ていって、そこで勝てる姿を見せないと、その先のオリンピックで勝つことは難しいと思う。去年と同様に、国際試合をどんどん経験をしていく」と、かねてより今季の方向性はハッキリとしていた。もちろん、彼らが今年度の日本代表になるのかは未知数であるが、アグレッシブな挑戦から生まれる“経験”や“ファイトする姿勢”が、シーンに刺激を与え、3×3に取り組む選手たちに還元されることで、2020年につながっていく好循環が生まることを期待したい。

開催国枠が決定したからこそ

一方で、3月31日には、オリンピックの開催国枠が男女5人制とともに、3×3も男女そろってFIBAのセントラルボードで審議の末に付与された。IOC(国際オリンピック委員会)承認の条件付きになっているものの、本大会へ向けた道が大きく切り開かれたことになる。そして、この吉報は代表選考にも少なからず影響を与えるだろう。3月中旬の代表候補合宿で、ロイブル氏は「開催国枠が与えられた場合、いかにオリンピックで良いチームを作るかという、“育成“に専念していけばいい。それが与えれなかった場合は、(オリンピック)予選から戦っていかないといけないので、どれだけポイントを稼ぐか。国別ランクキングのポイントなど全てを考えて、いかに勝てる大会へ、勝てるチームで出ていくかということ。そうすると、おのずとWORLD CUPやASIA CUPの戦い方に違いが出てきます。」と、言及しているからだ。「育成」をその言葉通り受け取れば、経験や実績よりもポテンシャル重視で若手を抜擢するということか。5月のFIBA 3×3 ASIA CUP、6月のFIBA 3×3 WORLD CUPとビックゲームが迫っており、その動向が注目される。

さらに、忘れてはならないのが、代表チームを支える一翼を、国内にいる数多くの3×3プレイヤーが担っているということ。国際大会へ出場すると、予選リーグでグループ分けをされるが、シードチームは国別ランキングに基づいている。FIBAにプレイヤーとして登録されたその国の上位100名が持つポイントの合計値が、この順位を現しており、先のJAPAN FINALに出場した選手のうち、これに該当している男子選手はじつに50名以上に及ぶ(筆者調べ)。代表とは縁がなくとも、この競技へ挑戦し続ける者たちは、何よりも欠かせない。女子は試合数が男子に比べて絶対的に少ないものの、矢野良子が3W『TRIPLE DOUBLE』を立ち上げて、環境整備にエネルギーをそそぐ。5月より3×3.EXE PREMIERは6シーズン目が開幕。JBA(日本バスケットボール協会)主催のJAPAN TOURも今年度の発表が待たれるばかりだ。ちょうどこの時期は、5on5のトップリーガーたちは束の間のオフと重なるが、オリンピックに向けて加速する3×3の機運を一緒に作る姿をコートで見せてほしいところ。様々な立場の選手たちがボーダーレスに集まり、マッチアップする光景ににファンは熱狂するだろうだ。より一層、活気づいた国内シーンの勢いをもって、初の五輪種目を世界に送り出す。



「日本一丸」の精神で

ロイブル氏による新たな代表チームが、いまの3×3シーンで一番の関心事であり、だれもが気になるところだ。どんな布陣で大会に臨むのか、楽しみである。ただ、パイオニアたちによる世界へのチャレンジも本格化。TOKYO DIMEは先週末(4/13-14)にフィリピンで開催されたAsia Pacific Super Questという国際大会で全勝優勝を飾り、FIBA 3×3 DOHA MASTERS(4/20-21)と、FIBA 3×3 PENANG CHALLENGER(5/12-13)の出場権を獲得する最高の結果を勝ち取った。「勝てる姿」を体現した大きな一歩である。3×3.EXE PREMIERの全日程もリリースされて、全国各地で3×3が多くの人に目に触れる準備も着々と進む。この3つの要素が噛み合ってこそ、2020年に向けて、この競技は強力にドライブするのだ。ワールドカップの出場権を勝ち取った男子AKATSUKI FIVEのように、「日本一丸」の精神でファンを巻き込み、選手や関係者たちの力によって、3人制バスケは盛り上がる。






JBA 3×3
3×3.EXE TOURNAMENT
3W

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