誰も語らなかった女子3×3の魅力

COLUMN | APR. 5, 2019

東京オリンピックを目前に、世界中でかつてない盛り上がりを見せる3×3。男子に比べ、試合の機会が少なかった日本の女子の為に生まれたのが、国内最高峰の3×3トーナメントツアー「3W (トリプルダブル)」。現在毎週末展開されているこの大会の魅力を、専属DJのDJ MIKOが独自の視点で語る。

text/DJ MIKO


この世界には色んなバスケットボールがあるんだぞ。
そんなメッセージも込みで、これまで仲間達とストリートボールの魅力を世に発信してきました。その日々で、“こんなバスケがあるなんて驚きました”という言葉をもらったことは幾度もありましたが、それをそっくりそのまま私が思うことになりました。昨年9月に開幕した「3W 」と出会ったからです。

Woman・Win・Worldで「3W 」。
創設者は自身が現役の3×3プレーヤーである矢野良子 選手。5人制でオリンピックを経験した彼女が、再びその舞台に立つ為に、自ら作り上げたFIBA承認の大会です。手間も時間もお金もかかる3×3の大会を、スポンサー集めから運営組織の構築までやり遂げ、尚且つ当日は自身が出場する。そんな離れ業は鉄人か超人か仙人にしかできないでしょう。ならば矢野選手は鉄人に該当しますね。

その鉄人から光栄なオファーをもらった大会MCはMAMUSHIと新岡潤。DJは私。我々男達はひたすら脇役に徹するこの3W、そして女子3×3の魅力を紹介したいと思います。

まず大会が始まる前、会場に選手達が集まってくる時点で、私にとってはすごく新鮮な体験でした。

目の前にはこれまでストリートボールのイベントで散々見てきた、いつものハーフコート、いつものリング、いつものDJブース。そしてそこにいつもなら、短髪で仏頂面の大男達がノソノソと寄り集まってきます。ですが3Wの場合、当然やって来るのは全員女性。DJ機材のセッティングを終えて顔を上げたら、女子選手だらけの光景が広がっているのは今でも不思議な感覚です。男子のイベントとはまた一味違う高揚感、これから何か特別なことが始まるワクワク感が一帯に漂っています。簡単に言えば、男衆にはない華と清潔感があるわけです。
たまたま通りかかった人も、年齢も性別も関係なく、この独特な空間に思わず引き寄せられていますね。



そして一見穏やかなアップやシューティングを眺めていた観客は、実際の試合を目の当たりにして驚くこととなります。超タフでシリアスだからです。もともとハードでスリリングな3×3自体の競技性もありますが、日本最高峰の女子3×3はやわじゃないです。“男勝り”や“男顔負け”などといった表現は当てはまらない、女子にしかできないシリアスゲームがそこにはあります。

大前提、男子選手と女子選手にはフィジカルの強さに当然差がありますが、それにより両者の3×3には別個の魅力が宿っています。男子はやはりゴール付近での激しいフィジカルコンタクトを始め、力ずくでこじ開けねじ込むプレーが醍醐味です。AND1などが冴えたる例ですね。そんな豪快なプレーと派手なリアクションにより、試合の熱と勢いがエンドレスにドライブしていきます。

一方女子の3×3。その魅力は沢山ありますが、まず私がひとつ挙げるなら、その“淡々”としたプレーです。女子はゴリゴリのぶつかり合いは少なく、感情を露わにすることも余りないので、一見淡々と試合が進行しているように見えます。ですがその“淡々”の中に面白さ、さらには戦慄すら感じるのです。

例えば、3×3で勝敗の大きな鍵を握る2ポイントシュート。
男子だとタイミングやディフェンスとの間合いを図り、決死のシュートが放たれますが、女子はもっと造作なく次々と飛び交います。しかもそれが高い確率と軌道で綺麗にリングに吸い込まれていきます。3Wでは1試合で8本決めたとんでもない選手もいましたね。

正確無比、刹那のガッツポーズもなく、淡々と相手チームを非情に追い詰めていく女子の2ポイントシュートに、私はいつも背筋が凍っています。そして同時に、その淡々としたプレーに感じるのは、バスケットボールに対する誠実さ、選手としての気高さ。さらに内なる闘志も滲み出ていて、いつも改めてこう思うのです。“女子3×3はやわじゃない”と。




もうひとつ女子3×3の見所を紹介するなら、不意に“ストリートボール”と交差する瞬間です。
ストリートボールで観客が沸くプレーに、シェイクやアンクルブレイクがあります。どちらもドリブルでディフェンスの体勢を崩すことで、ストリートボーラーの中には如何にそれをやるかに強いこだわりを持っている人も少なくありません。

そのプレーが女子3×3でも、“そんなつもりはなかったけど”生まれることが時折あります。そんなつもりはないので、戦慄の2ポイントシュート同様に淡々とゲームは続いていきますが、ストリートボール好きの観客やMC・DJは反射的に反応してしまいます。口元を拳で隠しながら“WOW”。女子の流麗なゲームの最中に、コート外から男達の野太いWOWが響く光景には、なんとも言えない愛らしさと幸福感がありますね。

こんな女子3×3の魅力を全て味わえる1日、それが「3W」。
回を重ねるごとにプレーのレベルもイベントの質も向上しています。そして下記にある日程の通り、現在怒涛の連戦の真っ只中。その全てのゲームが、来年の東京五輪出場へと繋がっています。

K-TAやTANAが選手でありながら「SOMECITY」を創り、ストリートボールの熱を全国へ飛び火させたように、矢野選手による3Wが今後の女子3×3の未来を切り開く、大袈裟ではなく私はそう思い、毎回全力で取り組んでいます。また強烈なアンクルブレイクが出ることにワクワクしながら。

■3W 2019 SCHEDULE

4月 6日(土) 越谷イオンレイクタウン
4月13日(土) 渋谷ストリーム
4月21日(日) 大分九州ツアーコラボ
4月27日(土) お台場肉フェスコラボ
5月11日(土) 渋谷ストリーム
5月25日(土) メガウェブ青海

3W

Photo by ma76bball

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