Analyst report「イラン VS 日本」

COLUMN | FEB. 25, 2019

スポーツアナリスト西原雄一が分析する観戦レポート「Analyst report」。Vol.9ではワールドカップアジア2次予選 Window6 アウェーのイラン戦をアナリスト視点で斬る!

Photo/©FIBA

FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区 2次予選 Window6 イラン代表対日本代表は、97-89で日本代表が勝ちました。印象に残った点は3点あります。

勝敗を分けたフリースロー

1点目はフリースローによる得点です。

フリースローの得点を比較すると、日本が22/26、イランが15/19。フリースローによる得点差は7点。結果的に8点差の勝利であったことを考えると、フリースローによる得点差が勝敗を分けました。この試合のスタッツを比較すると、日本のフィールドゴール成功率は61%という高確率を記録しました。イラン代表は、フィールドゴール成功率は41%で日本代表に劣ったものの、オフェンスリバウンドの数で日本代表を23対3と大きく上回り、セカンドチャンス、サードチャンスを得ることに成功しました。

結果的にフィールドゴールの成功数は日本の34に対して、イランが33とほぼ同じ数字を記録。振り返ると「確率に勝る日本」と「数に勝るイラン」の対決だったとも言えます。この試合は両チームともターンオーバーが少なく、日本が5に対して、イランが4。フィールドゴールの成功数、ターンオーバーの数ではほとんど差が生まれない試合の勝敗を分けるのは、フリースローの成功数です。

日本はファジーカスの6/8を筆頭に、比江島が4/4、田中が3/3、竹内が3/4とフリースローを落とさず、フリースローの成功数、成功率(84.60%)の両方で、イラン代表を上回りました。アウェーでの試合でこれだけの高確率でフリースローを決めたことは、称賛に値します。

修正したイランのキープレーヤーへの対応

2点目は、イランのキープレーヤーである13番のモハマド・ジャムシディへの対応です。

この試合のジャムシディは33得点の大活躍を披露しました。特に2Qまでの活躍は素晴らしく、2Qまでに挙げた23得点は、イランの前半に挙げた得点45点の約50%を占めています。イランにとって誤算だったのは、ジャムシディが得点を挙げ続けても、点差が詰まらなかったことだと思います。

この試合のジャムシディは、3Qの途中までベンチに下がらず、プレーを続けました。バスケットボールはプレーの強度が高いスポーツなので、ベンチに下がらず、プレーを続けるのは簡単ではありません。プレーを続けるほど、疲労も蓄積し、プレーの精度も下がってきます。ジャムシディは、2Qまでは23得点を挙げましたが、3Qは6得点、4Qは4得点。少しずつ得点が減っていきました。ジャムシディを抑えていたのは、田中と馬場です。ジャムシディは1Qで19得点を挙げているのですが、実は1Qで挙げた得点の10点は、日本代表がゾーンディフェンスを採用していた時間帯に挙げた得点です。日本代表は試合開始当初はゾーンディフェンスを採用していたのですが、1Q途中からマンツーマンディフェンスに切り替えました。ゾーンディフェンスを攻略し続けていたのが、ジャムシディでしたが、田中と馬場が守るようになってから、ジャムシディの得点が少しずつ減っていきました。田中は2018年9月に行われたイラン代表の試合でもジャムシディに対応し、わずか3得点に抑えています。田中は2Qまでに10得点を挙げましたが、3Q、4Qの得点は0。馬場も3Q以降の得点は0。3Q以降の2人が、いかにジャムシディへの守備に注力していたか読み取れます。

ジャムシディには苦しめられたように感じたかもしれませんが、データから試合を読み取ると、プレータイムの増加と、日本代表の守備の改善に伴い、少しずつ得点が減っていたことが読み取れます。イラン代表としては、ジャムシディを起用している間に点差を縮めたかったと思うのですが、日本代表はそれを許しませんでした。

準備していた得点が欲しい場面でのオフェンス

3点目は、細かい点になるのですが、この試合で最も印象に残ったプレーを取り上げたいと思います。

それは、1Q残り00:41、26-29と日本が3点リードの状況で、辻が決めた3Pシュートです。僕がこのプレーが印象に残ったのは、この試合の辻はわずか02:51の出場、シュートもわずか1本だけでしたが、そのわずか1本のシュートを確実にものにしたからであり、このプレーには、日本代表がこの試合に臨むにあたって、きちんと準備をしていたことが現れていたからです。辻が3Pシュートを決めた場面では、辻をフリーにするためのセットオフェンスが組まれていました。辻を起用するのは、どうしても得点が欲しい場面。そんな場面が来ることを想定し、きちんと準備してきたのだと思います。

この試合を振り返ると、フリースロー、キーマンへの守備とゲームプランの修正、そして得点が欲しいときのセットオフェンスの準備。やれることを抜かりなく準備した結果が、アウェーでの勝利につながったのだと思います。素晴らしい勝利でした。


西原雄一

2013年10月にブログ「nishi19 breaking news」を開設し、主にサッカー、バスケットボールに関する試合の分析記事を執筆。現在はnote(https://note.mu/nishi19)内の有料課金マガジン「勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方」で、有料会員向けに連載中。「B.LEAGUE 2017-18 選手名鑑・最新観戦ガイド」(ぴあMOOK)では、コラム「Bリーグは「データの力」で見えない壁を超える」を寄稿。
Twitter:@nishi19

FIBA バスケットボールワールドカップ 2019 アジア地区 2 次予選 Window6

日本(通算 7勝4敗) ○ 97 – 89 ● イラン(通算 7勝4敗) (35-28, 20-17, 23-22, 19-22)

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