インカレストーリー「勝つ文化」

COLUMN | JAN. 4, 2019

2018年 12月10日~16日まで7日間に渡り開催された第70回全日本大学選手権大会は東海大の5年ぶり5回目の優勝で幕を閉じた。昨年の覇者・大東文化大が残り8秒の逆転劇で2回戦敗退となったことに始まり、1点を争う激戦が目立った今大会。その中で大会随一の選手層の厚さと強固なディフェンスを武器とした東海大の安定度が際立った。平成最後の王者にふさわしい盤石の強さを見せつけたと言えるだろう。

Text/Takami Matsubara

黄金時代到来か? 東海大が抜きん出たチーム力で王座を奪還

東海大が掲げた今年のテーマは『勝つ文化を作ろう』だった。大学バスケットボール界をリードする常勝軍団と言われながら、昨年はリーグ9位という過去最低の成績に終わり、そこから立て直しを図ったインカレでもベスト5の壁は破れず5位に甘んじた。そこからもう1度チームの在り方を見つめ直し、勝つためには何が必要なのかを選手一人ひとりが考えるところから新チームはスタートした。



「去年は連敗するとチームの雰囲気も悪くなり、そのまま沈んでしまったような気がします。今年は大倉颯太、八村阿蓮を筆頭に有力なルーキーが多数入ってきましたが、まずは彼らが伸び伸びとプレーできる環境を作ること。チームの底上げもそこから始まると考えていました」(内田旦人キャプテン)。秋のリーグ戦の途中から大倉、八村がスタメン起用となり、その座を譲った上級生には複雑な思いもあっただろうが、「バックアップする自分たちがさらに強くなることでチームの層は厚くなります。スタートで出ようと、ベンチから出ようと、チームが勝利するために頑張ることは同じ。僕も(鶴田)美勇士も秋山(皓太)も3年の(寺嶋)良もセカンドのプライドを持って練習に取り組んできました」(内田)


その努力はリーグ戦優勝という形で実を結び、チームは失いかけていた『自信』という武器を再び手にすることができた。今大会の“山場”と目されたのは準決勝の対筑波大戦。過去連続3回(平成26年~28年)インカレ決勝で顔を合わせ、いずれも敗戦を喫した相手だ。が、陸川章監督をはじめ選手たちが口にしたのは「だからこそ戦いたい」という言葉。立ち上がりは筑波大のハードなディフェンスに苦しみ、前半24-28とビハインドを背負うもディフェンスのギアを一段階上げた後半は筑波大を4分間ノーゴールに抑え、平岩玄、八村のゴール下、大倉の速攻、西田優大のアウトサイドなど多彩な攻めで一気に前に出た。

最終ピリオドに入っても東海大の優勢はかわらず、終わってみれば75-59の圧勝。25得点、13リバウンドをマークした八村の躍動もさることながら、筑波大のエース増田啓介を抑え込んだ西田をはじめ、鍛え抜かれたチームディフェンスが光る一戦だった。東海大の強みはメンバーチェンジをしてもプレーの精度が落ちないこと。後半、試合を動かしたのはベンチから出た寺嶋の“攻め気”のディフェンスであり、ゴール下で身体を張った鶴田、1年生の佐土原遼もまた然り。セカンドチームの熱量は筑波大の体力を削り、最後まで流れを渡すことを許さなかった。

専修大を向こうに回した決勝戦でも東海大はこの強みをいかんなく発揮する。攻守の柱アブ・フィリップ、大会屈指のオールラウンダー盛實海翔、内外に著しい成長を感じさせる西野曜などバランスの取れた布陣で高い得点力を誇る専修大を激しいディフェンスで揺さぶると、握った主導権を手放すことなく88-70で栄えある日本一に輝いた。



「今年はスタメンに4年生が1人もいないチームでしたが、その4年生が献身的にチームを引っ張ってくれた。それにより選手層が厚くなり、これまでになくチーム一丸となって戦えたと思います。『インカレは4年生の大会』と言いますが、まさにそのとおり。4年生の背中を見てきた下級生たちがこれからの成長にも期待したいところです」と、陸川監督。

振り返れば専修大、筑波大もスタメンが全員3年生以下のチームであり、他にも3年以下の活躍選手として神奈川大の2年生エース小酒部泰暉、日本大を牽引する松脇圭志、杉本天昇、名門復活を目指す青山学院大の納見悠仁、赤穂雷太、1部リーグ復活を遂げた日本体育大学の大浦颯太、土居光などの名が挙がる。『4年生の背中を見てきた』彼らが一歩先を行く東海大をどう追いかけるか。それもまたこのインカレで見つけた楽しみの1つだと言えるだろう。




一般財団法人全日本大学バスケットボール連盟

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