3人制バスケU18日本選手権にみた冬のチャレンジと、意欲的なプロジェクト

COLUMN | DEC. 20, 2018

18歳以下の3×3日本一を決める、第5回3×3 U18日本選手権大会が、12月7日(金)~9日(日)の3日間にわたって、高崎アリーナ(群馬県高崎市)で開催された。出場チーム数は男女合わせて、昨年の「58」から「73」にスケールアップ。2020年の東京オリンピックで正式種目に採用された3×3の盛り上がりを感じさせるが、5人制をメインとするこの年代ではまだまだ馴染みが薄いのも事実。それ故、経験の浅いチームが多く、今大会も本命不在で、予測不能な試合の連続だった。

texy by Hiroyuki Ohashi


栄冠は初出場チームへ

そんな大混戦の中、栄冠は男女ともに初出場チームへ。男子はTEAM EHIME(愛媛県)が決勝で、Team withB(神奈川県)を21-16で破った。インターハイ(IH)に出場した松山工業高校と、ウインターカップ(WC)へ出場する新田高校の混成チームは、予選で開志国際高校(新潟県)に5-21のKO負けを喫したが、そこから立て直して接戦の連続を制した。MVPには165cmのサイズを感じさせない、強気なプレーを連発した仙波洋人(松山工業)が選出。「初めての(3×3の)試合で優勝できて、すごく嬉しい。チーム全員が必死に戦った結果だと思います。」と、県勢初のタイトル獲得を喜んだ。





女子は、RAMS(兵庫県)が決勝で、国体準優勝メンバーを擁する宮崎県代表を13-11で下した。彼女たちは、IH予選で県3位、WC予選で県ベスト4に進出した創部2年目の三田松聖高校の2年生軍団だ。初の3×3で慣れるまでに苦労もあったが、MVPに選ばれた岸本明香里は、「3×3はリバウンドやシュートを一本一本、丁寧に行くところが大事だと思った。チームのみんなに共有して、来年のインターハイやウインターカップの全国大会を目指して頑張りたい」と、3人制日本一の経験を、5人制の飛躍につなげる決意だ。





高校バスケNo.1チームの挑戦

今大会は昨年に続いて、高校バスケ界の強豪校や各地の有力選手による選抜チームが多数参戦した。その中でも、ひと際の注目を集めたのが、IHのチャンピオン・開志国際だ。

WCの第1シード校でもある彼らの出場に驚きを感じたが、意外にもこれは選手による自発的な気持ちからだった。金谷拓海(3年)は「僕と相馬(迅)は、あまりインターハイとかも試合に出ていないので、ウインターカップ前に新しいカテゴリーへ最後に挑戦したいという思いでやりました」と、その理由を教えてくれた。監督である富樫英樹 先生からは快く送り出してもらったという。204cmのOKOYE PETER JUNIORのパワーと高さに加えて、金谷と相馬の鋭いドライブやそこから展開される2Pシュートや留学生とのコンビネーションなど、“優勝”の可能性も感じさせる戦いぶりを見せた。

しかし、準決勝で16-21の完敗。「予選は(3戦全勝で)うまくいけたんですけど、Team with Bさんとやらせてもらって、本当に3×3の本職というか、得意としてるチームはすごいなと。圧倒されました(金谷)」と力及ばなかった。

ただ、試合経験を欲して、5人制と勝手の違うコートにやってきた彼らの姿勢は、非常にポジティブなもの。頂点に立てなかった悔しさは残るが、「(IHで)夏に優勝したので、今大会も名前だけは注目された中、ここまで(ベスト4)来ることができて、良かったと思います。ウィンターカップに向けて、もう1度優勝できるように(チームへ)戻って、自分と相馬、PETERしか体験していないことを、(仲間へ)良い還元ができればと思います」と、金谷は前を向いた。彼らのチャレンジが、冬の大一番に向かうチームの活力になることを願いたい。

先輩超えを狙った高校生たち

一方で昨冬に出場した先輩たちの背中を見て、今大会に臨んだ高校生たちもいた。男子で2連覇を狙ったKyushu Selection Stampede(大分県)の加賀雅也(藤蔭高校/3年)がその一人。前回大会優勝の原動力となり、MVPを獲得した森川凌(現富山大学)の後輩だ。準決勝でTEAM EHIMEに14-16で敗れたが、序盤のビハインドを挽回する思い切ったオフェンスは、彼を彷彿をさせた。「森川先輩を越えたくて、(5人制を含めて)この一年ずっとやっていました。小学校から高校までずっと一緒で、目標の人だった。今年も優勝して MVPも取れたらよかったんですけど・・・ また手が届かなかったです」と、唇をかんだ。

とは言え、自身が望んだ初の“全国大会”で見せたプレーは堂々としており、準々決勝では3×3の世代別日本代表の改田拓哉(SEKAIE/鳥取県)との1on1をストップする素晴らしいディフェンスも披露した。彼は来春の大学進学後も競技を続ける予定であり、新たな舞台で先輩超えを目指す。そして加賀の活躍を見た後輩ボーラーの登場も楽しみだ。

女子では宮崎県代表が、昨年の同大会で準Vだった延岡学園高校・Panthersの上を行く結果を狙っていた。今年の4人は秋の国体で準優勝を経験した選手を軸に、3×3の経験不足を4人の息あったチームプレーでカバーした。準々決勝のKIKU GYMRATS(埼玉県)戦を12-10で競り勝ち、決勝でも最後まで食い下がった。

先輩たちを知る同高の江藤涼(3年生)は、「能力が高い3人だったので、絶対に超えてやろうと思っていたけど、ちょっと超えられなかったですね・・・」と、あと一歩まで迫っただけに残念な気持ちで一杯だった。だが、前年に続くファイナル進出は、女子のカテゴリーで、“宮崎”の存在感を強く印象付け、次世代に女王挑戦は託されたと言えよう。

発展途上の3×3へ意欲的なプロジェクト

最後に、優勝争いには絡めなかったが、ピックアップしておきたいチームがある。今春、3×3“部”を立ち上げた桐生第一高校(群馬県)だ。現段階で選手は5on5と兼任であり、この大会のエントリーはWC予選で引退した3年生たちであったが、予選を突破。決勝トーナメントは初戦敗退となったが、同部の近藤洋介ゼネラルマネジャーは「前例がない中で部活動としてやってきましたので、本当に選手たちはよく頑張ってくれた」と、初年度の結果に胸を張った。

そして来年度から、「(選手は5人制と)完全に分けるんですけれども、練習の導入、ファンダメンタルや体力作りなどは一緒に行い、その後はそれぞれの部で分けてやっていく」と、日本一に向けて強化を加速させる。さらに同校は、勝敗にとらわれることなく、「今後、中学や高校に3×3が部として増えていき、その街にいるプロチームが練習試合に来てくれたりするような街の光景が作れたら」と、3×3で地域の発展を担えるモデルケース作りも同時に目指している。

同氏はバスケットボールのレンタルコートを運営する会社で代表も務めており、夢の実現に向けて、社内ネットワークを生かして、3×3日本代表選手が所属するプロクラブ・BEEFMANを練習に招いたり、本業のノウハウによって将来的に同校体育館の委託運営を行い、上武大学と連携した3×3の地域リーグ設立をプランする。3人制バスケに一石を投じる意欲的な彼らのプロジェクトは、今後も注目に値するだろう。


3×3は5人制とは違い、まだまだ変化に富んであり、発展途上にある競技だ。個々の気持ちと取り組み次第で、全国トップクラスに成り上がるチャンスがある。いまだアンダーカテゴリーで主役と呼べるチームはなく、その登場が待たれるばかり。関係者によって、その選手たちが立つ舞台も良い方向にアップデートされる流れもあり、1年後の日本選手権はよりエキサイトできる、ハイレベルな大会になっていくことが予想される。遠くはない将来、ウインターカップにならぶ冬の祭典になるポテンシャルを3×3は持っている。





第5回 3×3 U18 日本選手権大会

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