Analyst report「日本 VS カタール」

COLUMN | DEC. 3, 2018

スポーツアナリスト西原雄一が分析する観戦レポート「Analyst report」。Vol.6ではWC2次予選Window5ホームカタール戦をアナリスト視点で斬る!



勝敗を分けたポイントは、「1Qの後半から2Qの間に発生した問題を3Qで修正できたこと」だと思います。

日本代表が直面した3つの問題

日本代表が1Qの後半から2Qの間に発生した問題は3点あります。1点目は、比江島のファウルトラブルです。
比江島は1Q残り08:05の時点で2つ目のファウルを犯し、ベンチに下げざるを得なくなってしまいました。そして、2Q残り08:01の時点で3つ目のファウルを犯してベンチに。2Qに比江島が下がってからは、6-13とカタールに逆転されてしまいました。

2点目は、ファジーカス、太田、竹内公輔の3人の役割分担が上手くいかなかったことです。
3人ともBリーグの所属チームでは、センター(5番)というポジションを担当していますが、この試合では、太田と竹内公輔はパワーフォワード(4番)のポジションでプレーしていたのですが、普段の癖なのか、攻撃でも守備でもプレーするエリアが重なってしまう場面が見られました。攻撃では動きが重なることで、他の選手が動きたいスペースを消してしまうことがあり、パスを受けるアクションが止まってしまいます。カタールが2Q途中からゾーンディフェンスを採用したこともアクションが止まってしまった要因だと思いますが、僕は役割分担の問題も大きかったと思います。また、守備では3人が守りたいスペースが重なるため、受け渡しがスムーズにいかず、フリーの選手やスペースを与えてしまいました。



3点目は、富樫の負傷交代と篠山のファウルトラブルです。
2Q残り05:30の時点で、富樫が足首を負傷し、ベンチに下がってしまいます。ポイントガードは2人しか登録していなかったので、篠山のプレータイムが増えることになったのですが、3Q残り07:11の時点で篠山が3つ目のファウルを犯してしまい、残り時間を考えるとベンチに下げざるを得なくなってしまいました。


日本代表は問題をどのように解決したのか

3点とも、これまでの日本代表であれば、敗因に直結してもおかしくない問題だったと思います。しかし、この試合の日本代表は、2Qまでに起こった問題を試合中に修正してみせました。

1点目の「比江島のファウルトラブル」ですが、ファウルトラブルになったのは、ゾーンディフェンスで比江島が守っているエリアに対して、相手がアタックしようとしたとき、比江島と他の選手との連携が上手くいかなかったことが要因でした。また、守備時にファジーカス、太田、竹内公輔の3人の役割分担が上手くいかなかったのは、ゾーンディフェンスを採用していたことも要因だったと思います。そこで、3Q以降の日本代表はマンツーマン・ディフェンスのみに切り替えることで、連携の問題を解決しました。

2点目のファジーカス、太田、竹内公輔の3人の役割分担については、太田と竹内公輔の代わりに、竹内譲次、張本を起用することで解決しました。竹内譲次と張本は、Bリーグで4番のポジションで起用されることに慣れていることもあり、ファジーカスとプレーエリアが重なることがなくなりました。

また、竹内譲次と張本が、攻撃ではスクリーンやスペースを空けるアクションを、守備ではコンタクトで負けずにスペースを消すアクションを実行し続けることで、他の選手たちがスムーズに動けるようになりました。


3点目の富樫の負傷交代と篠山のファウルトラブルは、田中が素晴らしいパフォーマンスを披露し、富樫の抜けた穴を埋めてみせました。田中の強みは強度の高いディフェンスと、シュートチャンスを作り出すプレーです。特に相手のディフェンスの状況を判断して、的確にプレーを選択し、シュートチャンスを作り出すプレーの精度は、日本代表選手の中でも抜きん出ています。田中がポイントガードを担当し、竹内譲次や張本が空けたスペースを、馬場や比江島が効果的に活用した結果、3Q以降の54-15という得点差につながったのではないかと思います。



カザフスタンがゾーンディフェンスを採用したときにいかに対応するのか

次回の対戦相手はカザフスタンです。前回対戦時は勝利していますが、僕が気になっているのは、カザフスタンがゾーンディフェンスを採用した4Qはm20-15とカザフスタンが上回ったことです。カタールのゾーンディフェンスの攻略に苦労した日本の戦い方を見て、カザフスタンがゾーンディフェンスを採用してくることは予想されます。相手のゾーンディフェンスをいかに攻略するかが、カザフスタン戦のポイントになりそうです。日本代表の戦いに注目したいと思います。





西原雄一

2013年10月にブログ「nishi19 breaking news」を開設し、主にサッカー、バスケットボールに関する試合の分析記事を執筆。現在はnote(https://note.mu/nishi19)内の有料課金マガジン「勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方」で、有料会員向けに連載中。「B.LEAGUE 2017-18 選手名鑑・最新観戦ガイド」(ぴあMOOK)では、コラム「Bリーグは「データの力」で見えない壁を超える」を寄稿。また、一般社団法人日本スポーツアナリスト協会の広報委員として、様々な競技のスポーツアナリストの活動をサポートしている。
Twitter:@nishi19

FIBAバスケットボールワールドカップ 2019 アジア地区 2次予選Window5

日本(通算 5勝4敗) ○ 85-47 ● カタール(通算 2勝7敗)

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