Analyst report「日本 VS カザフスタン」

COLUMN | SEP. 17, 2018

スポーツアナリスト西原雄一が分析する観戦レポート「Analyst report」。Vol.3では2次予選初戦カザフスタンのアウェー戦をアナリスト視点で斬る!

Photo/©JBA


勝敗を分けた「ペイントエリア内の得点数」

勝敗を分けたポイントは、「ペイントエリア内の得点数」の差です。FIBA公式サイトのスタッツによると、ペイントエリア内の得点数は、日本代表が42でカザフスタン代表が28。この試合が15点差の勝利であったということを踏まえると、ペイントエリア内の攻防が勝敗を分けたという意見も理解頂けると思います。

ペイントエリア内の得点数の内訳を調べると、八村が7/8、渡邊が5/8と、2人だけでペイントエリア内の全得点42点中24点を挙げています。
この試合はファジーカスが欠場したため、ペイントエリア内からの得点が減るのではないかと思ったのですが、日本代表は八村、渡邊の特徴をいかすためにオフェンスを調整し、ペイントエリア内から得点を増やし続けました。

試合を見ていると、八村と渡邊という個人の力でペイントエリア内にボールを運び、シュートチャンスを作り出したように見えるかもしれませんが、八村と渡邊がプレーしやすいように、他の3人がタッチライン際に広がり、2人がペイントエリアに侵入するためのスペースを作っていました。


渡邊の守備は「強度が違う」

ペイントエリア内の得点差がついた要因は、日本代表のディフェンスがカザフスタン代表のオフェンスを抑えていたからです。

1Qは5-0とカザフスタンがリードしますが、日本代表は渡邊のチーム初得点の後、ゾーンディフェンスに切り替えます。ゾーンディフェンスに切り替えたことによって、カザフスタン代表は日本代表のペイントエリア内にボールを運べず、ターンオーバーが増えてしまいました。カザフスタン代表が記録したターンオーバーの数は20(日本代表は14)というスタッツからは、日本代表のディフェンスがいかに機能していたかを示しています。

ディフェンスで印象に残ったのは、渡邊のプレーです。渡邊は、ジョージ・ワシントン大4年のシーズンに、アトランティック10カンファレンス(A10)の最優秀ディフェンス選手賞を受賞しているほど、ディフェンスに定評がある選手です。

206cmという身長と長い手足といった体格だけでなく、シューティングガードからパワーフォワードまで守れる俊敏性も持ち合わせています。印象に残ったのは、相手にパスが渡った瞬間や、相手がリングにアタックした瞬間に、相手との距離を詰めるスピードと強度です。相手の動きを読み、次のアクションを起こすスピードが、他の選手とは全く違いました。そして、相手のコンタクトに負けず、逆に相手がコンタクトを避けるように後ずさりしてしまう場面も見られました。

そして、渡邊がすごいのは、アクションを繰り返し実行できることです。ボールや相手の位置に応じてスペースを埋める、パスが渡ったらマークすべき相手との距離を詰める、というアクションを止めず、実行し続けることができるのです。渡邊がメンフィス・グリズリーズと2WAY契約を勝ち取ったのはなぜなのか。相手に、味方に、そして日本のパスケットボールファンに、強烈に示してみせました。

相手の日本代表対策にどう対応するのか

15点差をつけて勝利を収めましたが、課題がないわけではありません。それは、アシストの数でカザフスタン代表を下回ったことです。

アシスト数は、カザフスタン代表が15に対して日本代表は11。ファストブレイクから23得点を稼いでいたので目立ちませんでしたが、チームとしてシュートチャンスをつくり出すというよりは、相手のミスに乗じた得点や、八村や渡邊といった選手個人の力で挙げた得点が多かったことを示しています。

僕が気になったのは、4Qでカザフスタン代表がゾーンディフェンスに切り替え、ペイントエリアからの得点を抑えるディフェンスに切り替えた後、なかなかシュートチャンスが作れなくなったことです。
「日本代表はペイントエリアからの得点が増えている」のはデータで示されていますので、今後相手チームがペイントエリアからの得点を減らすための対策を実行するはずです。相手が対策を実行したとき、どのように対応するのか。これまでとは違う対応が求められると思います。

次戦の相手はイラン。イラン相手にこの試合と同じようにペイントエリアから得点を挙げられるのか。もし、ペイントエリアからの得点が伸びないときに、チームはどのような対策を実行するのか。注目したいと思います。




西原雄一

2013年10月にブログ「nishi19 breaking news」を開設し、主にサッカー、バスケットボールに関する試合の分析記事を執筆。現在はnote(https://note.mu/nishi19)内の有料課金マガジン「勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方」で、有料会員向けに連載中。「B.LEAGUE 2017-18 選手名鑑・最新観戦ガイド」(ぴあMOOK)では、コラム「Bリーグは「データの力」で見えない壁を超える」を寄稿。また、一般社団法人日本スポーツアナリスト協会の広報委員として、様々な競技のスポーツアナリストの活動をサポートしている。
Twitter:@nishi19

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