Analyst report「日本 VS チャイニーズ・タイペイ」

COLUMN | JUL. 5, 2018

スポーツアナリスト西原雄一が分析する観戦レポート「Analyst report」。Vol.2では圧勝で2次予選進出を決めた FIBAバスケットボールワールドカップ2019 アジア地区 1次予選 Window3 日本 VS チャイニーズ・タイペイをアナリスト視点で斬る!

Photo/©JBA

16-0のランはどうして生まれたのか

この試合の勝敗を分けたポイントとして挙げたいのは、1Q 7:35 4-4同点からの16-0のラン(連続得点)です。この連続得点の後、この試合でチャイニーズ・タイペイにリードを許すことはありませんでしたので、この連続得点がポイントだったと思います。

連続得点のスタッツを確認すると、富樫が3得点1アシスト、八村が4得点、ファジーカスが2得点、そして、比江島7得点1アシスト。日本が勝敗を分けた時間帯における、比江島の貢献度の高さがスタッツからも分かります。

この試合の日本は、2ポイント成功率が68.2%だったのですが、前回のチャイニーズ・タイペイ戦の対戦と比較すると、ペイント内からの得点が26から52に倍増しています。チャイニーズ・タイペイが38だったので、得失点差で考えると、24点分のプラスを生み出しています。

この試合では、比江島がペイント内のシュート6本決めているのですが、前回はペイントエリアの得点は3本だけでした。しかし、この試合は1Qだけで3本を挙げていることからも、ペイント内にいかに侵入して、得点を奪えるようになったかが分かります。

ペイントエリアのシュートは、リングから距離が近い位置でのシュートのため、得点期待値が高いプレーでもあります。ペイントエリア内のシュートが増えた事が、2ポイントシュートの成功率の高さに繋がり、勝敗を分けた16-0のランにつながったと思います。

ペイント内のシュートが増えた要因として、ファジーカスの貢献は無視出来ません。この試合でファジーカスが決めたペイントエリア内のシュートは9本あります。ファジーカスが加入したことによって、日本はペイント内で得点する術を得ることが出来ました。ファジーカスが入った効果は、正直予想以上でした。

ファジーカスはなぜコンスタントに得点を挙げられるのか

ファジーカスという選手のプレーを見ていて感心するのは、どんな試合でも、プレーの質が下がらないことです。

コンディション、対戦相手、試合会場など、試合ごとに異なる状況に素早く適応し、毎試合コンスタントに得点するのは簡単ではありませんが、ファジーカスはいとも簡単にやってのけます。1試合だけ凄い選手はたくさんいます。しかし、常に高いレベルの成績を残すのは、簡単ではありません。ファジーカスの凄さは、常に高いレベルの成績を残すところにあります。

ファジーカスのプレーを観察していると、「相手が対応してくる」事を前提に技術を磨いてきたのだなと感じます。

フェイドアウェイの時に、相手に距離を詰めさせないように軽く膝を立て、フックシュートの手を上げるタイミングやリリースのタイミングなど、自分が気持ちよく打てる事を優先するのではなく、相手に応じて確実にシュートを決めるために、技術を駆使している。

選手はどうしても「気持ちよくプレーする」ための技術を磨いてしまいがちですが、ファジーカスのプレーからは、コンスタントに力を発揮するための準備、相手に適応するための技師の磨き方など、「試合に使える技術とは何か」を教えてくれます。ファジーカスから学べる事は多いはずです。

日本人選手のプレーで気になる「試合ごとのパフォーマンスの差」

オーストラリア戦のレビューでも書きましたが、この試合では富樫のプレーに注目していました。この試合の富樫は、12得点4アシスト。3ポイントシュートを4本成功させましたが、オーストラリア戦の印象を払拭するほどのパフォーマンスではなかったと思います。

富樫という選手のプレーで気になるのは、試合毎にプレーのレベルの差が大きいことです。良いときは誰も止められないくらいのパフォーマンスを披露するけれど、悪いときは全然ダメといった具合に、パフォーマンスの波が大きいのが気になります。

ポイントガードというポジションは、得点だけで評価されるポジションではありませんが、富樫の場合は得点を取ることと、プレーの良し悪しの関連性が高いので、どうしても得点が取れないと、他のプレーの質も下がってしまうように見えます。

富樫だけではなく、日本人選手はBリーグをみていても、試合ごとのパフォーマンスの差が大きいように見えます。ある試合では20得点以上挙げても、ある試合では一桁の得点しか挙げられないといった具合に、試合ごとのパフォーマンスの差が大きいのが気になります。

コンディションの維持、環境の変化、相手の対応といった変化に対して上手く適応し、コンスタントに力を発揮して欲しいと思います。彼らなら出来るはずです。

強い相手、厳しい環境でも、いかに力を発揮するか

1次予選は無事通過しましたが、2次予選が9月から始まります。相手チームのレベルが上がり、勝利することがより難しくなるなかで、相手チームと同じスピードで成長を続けていても勝てません。

強い相手、厳しい環境でも、いかに力を発揮するか。チームとしてさらなる向上が求められています。より一層のレベルアップに期待したいと思います。


西原雄一

2013年10月にブログ「nishi19 breaking news」を開設し、主にサッカー、バスケットボールに関する試合の分析記事を執筆。現在はnote(https://note.mu/nishi19)内の有料課金マガジン「勝ち負けだけじゃないスポーツの楽しみ方」で、有料会員向けに連載中。「B.LEAGUE 2017-18 選手名鑑・最新観戦ガイド」(ぴあMOOK)では、コラム「Bリーグは「データの力」で見えない壁を超える」を寄稿。また、一般社団法人日本スポーツアナリスト協会の広報委員として、様々な競技のスポーツアナリストの活動をサポートしている。
Twitter:@nishi19

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